戦略的思考の肝

9月24日(月曜日)

最近、知財戦略経営とか特許戦略とかマーケティング戦略とか、いろいろな場面で「戦略」ということばを聴くことが多くなりました。

しかし、戦略的思考というものを抜きにして「戦略」を語る場面が非常に多いように感じています。

多くの企業が、事業計画などで「成長戦略」とか「競争戦略」とかをまとめていますが、それが本当に戦略的思考で作り上げられているか疑問に感じることがあります。

特に、日本人は戦略的思考といういうものがあまり得意ではなく、謀略的なイメージで捉えられる傾向もあり、極論的な議論になってしまうことがままあります。(私も多少その傾向はあります)

私が、戦略を作成するうえで、重要である戦略的思考の肝を言うならば、それは「客観的情報を基にした状況分析」と「集中と選択」の2つが肝であると思います。

最初の「客観的情報を基にした状況分析」というのは、戦略とは、正しいことをすることが解決ではなくて、置かれた状況の中で最もベストの行動をとることが解決であるという考え方が重要だということです。

例えば、ちょっと古い話ですが、ソニー陣営と松下(現パナソニック)陣営が、ビデオテープのデファクトスタンダードを獲得するために戦いました。ソニーは、松下陣営よりも高い技術と性能を持つベータ方式で正面突破を選びました。それに対して松下陣営は、VHSの技術データを公開して世界の企業との提携を拡大して、性能ではベータに劣りましたが、VHSでデファクトスタンダードを獲得しました。このように、いいものさえ作っていれば、シェアは取れるという発想ではなく、今の状況で、どうすることが勝つために必要なのかという、結論から今のベストの行動を導き出すことが重要です。

二つ目は、「選択と集中」をあげました。

ビジネスにおいて、グローバル市場で全員が切磋琢磨しているわけですから、みんな同じような知識やスキルを持っているわけです。

そこで、重要なことは、

わが社は、何をやるのか?

わが社は、何をやらないのか?

を決めて、明確に組織に指示することです。

最悪なのは、「わが社は勝利に向かってあらゆる努力をする」という全包囲網の指示です、これほど組織を迷走させることはありません。

CPU市場で圧倒的シェアを誇っているインテルという会社の事例をあげます。

インテルは、メモリーの半導体で業績を上げて成長していましたが、そこに日本のNECをはじめとする家電メーカーが半導体のメモリーチップに市場参入し、決定的な価格競争力でインテルのメモリーの市場を奪いました。

インテルはそこでマイクロプロセッサーというパソコンの心臓部の半導体の分野に特化し、その後はマイクロソフトのWindows OSとインテルのCPUというバンドル戦略「インテル入っている」で世界のパソコン市場を席巻することができました。

一方、インテルのシェアを奪ったNECをはじめとする日本の家電メーカーはどうかというと、韓国、台湾、中国から価格競争を仕掛けられて、思い切った選択と集中が行えずに、事業と人とのリストラを繰り返していますが経営危機という状況にあります。

「戦略」の基本は「戦略的思考」にあり、その肝は「客観的情報による状況分析」と「選択と集中」にあることを、組織的にDNAとして確立していく必要があります。