2012年

12月

04日

百貨店再生への考察

2012年12月5日(水曜日)

百貨店が斜陽業態になったのは、いつ頃だったでしょうか。

ダイエーやイトーヨーカドーやニチイやジャスコなどのスーパーマーケットから出発したGMSという業態が現れて、百貨店と取扱いカテゴリーが同じようになり、付加価値を与えることができずにズルズルと百貨店の売上がGMSに流れていきました。

しかし、その後、一つひとつのカテゴリーを専門に大量に扱う「カテゴリーキラー」という業態が現れ、今度は百貨店とGMSの売上を奪っていきました。

最初は、トイザらスから始まり、靴・紳士服に続き、家電、DYI、スポーツ店、カジュアル衣料、家具、酒、ドラッグストアなどに次々と拡大していきました。

いまや銀座の百貨店の半分近くを海外のファストファッションに売り場を提供している百貨店もあります。

このような、専門の品ぞろえが豊富で価格が安いカテゴリーキラーと、一等地に大勢の社員を抱える百貨店が同じ土俵で戦うことがナンセンスなのは明らかです。

それでは、百貨店が向かうべき方向性はどういう方向性なのかを私なりに組み立ててみます。

いま百貨店に行くと感じるのは、大きな売り場をブランドのブースに割り振ってブランドごとに商品を売っているという形態になっています。

この形態は、ブランド志向の人には便利でしょうが、私のようにあるアイテム(ジャケットなど)をいろんなものを比べて買いたいと思う人間にとっては、比較するうえで非常に苦労する形態です。

まずこの辺の問題が存在します。

でも、これはそんなに大きな問題とは私は考えていません。

むしろ、もっと大きな問題は、百貨店に入って売り場をめぐるという行為に関して、ワクワク感がほとんどないということです。

子供の頃や若いときに百貨店の売り場に行くときというのは、なにか特別な感じがしたのですが、今は、普通のお店という感じで実用的に使っている感じがします。

つまり、百貨店というのは、普段のありきたりな生活を忘れて、思いっきりぜいたくな気分・お金持ちになったような気分になって、財布のひもを緩めてちょっと無理な買い物をしてしまうという結果をつくり出すことが重要だと考えています。

そのためには

1.インテリアや照明・音楽などのインフラの高級感の演出(店全体の統一感)

2.ストーリー性のある陳列

3.ストーリー性のあるイベント

4.邪魔にならずかつ相談すれば専門性の高い接客(あの変な声のいら

 っしゃいませ~はやめていただきたい)

5.センスを感じる接客員

そして、これらすべてを統括する基本的なコンセプトとして特別なお買い物を体験する空間をプロデュースする必要があります。

このイメージは、子供のディズニーランドに対する感覚に近いものを演出するということです。

細部にわたって物語から目が覚めてしまうようなものはすべて排除し、店に入る瞬間から買い物をして店を出る瞬間まで特別なエクスペリエンス(体験)を提供していくようにする必要があります。

百貨店はストーリーテラーを中心にマーチャンダイジングと空間とイベントをプロデュースしていくことがあるべき方向性だと思います。

物販が中心でもないディズニーランドの帰りの人たちの、あの大きなビニールバックの買い物袋は、ディズニーランドの魔女が魔法によって財布のひもをほどいてしまった産物ではないかと私は分析しています。

百貨店は、この魔法を紳士淑女にかけれあげなければいけないとおもうのです。

昨今のバーゲンだの初売りだのというカンフル剤ばかりで売上を確保していても、ますます百貨店のあるべき姿からは離れていくばかりだと思います。

普段の買い物とは、違う物語の中での買い物体験の提供。これが百貨店の進むべき方向であると思います。