ドラッカーの組織感

2013年2月6日(水曜日)

今週は、組織のコミュニケーションなどについてお話しさせていただいていますが、組織のあるべき姿の基本の上に立って初めて、コミュニケーションは効果を示します。

そこで、組織のあるべき姿とは何かにつてい、ドラッカーの言葉を借りてまとめてみます。

ドラッカーの組織感

企業とは何か?(1)

企業たるものは、社会の代表的組織として社会の信条と価値に応えなければならない。

1.機会は平等であるとの約束

2.報酬は努力と能力に応じて与えられる

3.社会の一員としての位置と役割を与えられる

4.自己実現の機会を与えられる

5.全員が対等のパートナーとして協力し合うとの約束

 

企業たるものは、3つの側面に寄与しなければならない

1.事業体としての機能

2.社会の信条と約束の実現

3.社会の安定と存続

1つの側面の解決なら常に容易である。問題は3つの側面に調和をもたらすことにある。企業の利益の追求が自動的に社会的責任の遂行を意味するよう経営しなければならない。

社会とその代表的組織とのかかわりに関する3つの側面は、同じように重要であって、同じように独立していながら互いに依存関係にある。3つの側面が協調しない限り社会は成立しない。

 

企業とは何か?(2)

企業は社会的組織である。

共通の目的に向けた一人ひとりの人間の活動を組織化するための「道具」である。

企業とは人間組織である。

この点に関しては、企業は軍と変わるところがない。軍と同じように設備は必要である。しかし、人間活動が機能的に組織されていなければせっかくの設備も役に立たない。

そのうえ、あらゆる組織と同じように真に重要なものは、一人ひとりの人間の機能ではなく、彼らの間における責任と権限の関係である。

音楽に例えるなら、組織はメロディである。重要なのは個々の音ではなく、音と音の関係である。

他のあらゆる人間組織と同じように、企業の存続と成功は3つの問題の解決にかかっている。

1.リーダーシップにかかわる問題

2.経営政策にかかわる問題

3.意思決定と成果の尺度にかかわる問題

組織は、組織内の才能と能力を発揮し、主体性を奨励し、能力を発揮させ、成長させるとともに、これに対して社会的・経済的地位をもって報いなければならない。さらには、責任への意欲と能力を重視しなければならない。

あらゆる経営管理者に対し、人材育成が仕事の一部であることを認識させなければならない。

 

組織を方向づける経営政策

企業は組織としての経営政策を必要とする。

組織の中の人間の欲求や意思決定を、組織そのものの存続と利益に従属させなければならないからである。

組織内の人間の行動を方向づけするための一連の基準を必要とするからである。

組織内の人間が、自らの行動が企業の長期的な利益に合致しているか否かを容易に知り得なければならない。

組織内の人間全員が、経営にかかわるあらゆる決定を周知されなければならない。

同時に、経営政策の策定とその実行にかかわる権限と責任を明らかにする基本的な定めがなければならない。

ここで問題になるのが、原則の保持と状況への対応のバランスである。

しかも、企業活動の基盤ともいうべき「冒険」と「先取り」の精神が、経営政策や前例への固執によって阻害される危険性が常に存在する。(ドラッカー 企業とは より)

 

私がドラッカーの企業論で重要視しているのは、企業は組織であり組織は一人ひとりの人間の集合であるという基本的なことです。

そして、その人間は主体的であるがゆえに能力を発揮できるということであり、その主体性は、それぞれが与えられた責任の重要性を理解し、引き受けるという意思によって始動されるものであると思っています。

ふつう権限の委譲というニアンスで仕事を任せるという言い方をしますが、仕事を任せるというのは、責任を渡すということであり、その責任を全うするための権限が同時に付与されるものということです。

権限を与えられたから主体性を持って働くとは限りません。

責任なき権限は、多くの場合腐敗の道をたどるのではないでしょうか。

政治家と官僚の人々がそのことをよく教えてくれます。