追認の罠

2013年2月15日(金曜日)

私たちは、何かの判断を下すときに、いろいろな情報を集めて、検討し、冷静に判断しているように思いますが、実は「最初から決めたい」と思っていることの情報を積極的にとって、自分の直感を追認するようなことをしています。

例えば、パソコンを買う場合を考えてみます。

購入者が、以前からVAIOのブランドに好意を持っていたとします。

しかし、パソコンを選ぶときは、CPUの処理速度やハードディスの容量などのスペック、それからOSなどのソフトの内容、アフターサービス、そして価格を冷静に分析して、今、自分に必要であり、コストも安く、信頼のおけるパソコンを買うべきだという冷静さを持つべきであると自分に言い聞かせたとします。

しかし、実際に情報収集していく中で、VAIOに向かうべきものを選んで情報収集をしていることがままあります。

要は、自分の直感の正しさを追認する情報収集をしてしますのです。

これは、買い物だけではなく恋愛にも当てはまります。

自分が好意を寄せている人の話を友達などにしたとき、その友達が「あの人は腹黒いよ」などといわれると、「この人はあの人の本当の良さをわかってない、あの人の本当の良さをわかるのは私だけだ」などど思い、あるひとから「あの人はスタイルがいいね」などいう情報が入ると、全人格が肯定されたように思い込んでしまうというような感じです。

まあ、この辺まではちょっとした失敗劇で終わるということで罪はありませんが、こと会社の経営戦略となるとそうはいきません。

高度成長期ならいざ知らず、現在のようなサバイバルのジャングルのような経営環境の中では、戦略失敗のリスクの許容度は格段に低くなっています。

しかし、経営者も意外と追認の罠にはまってしまっているケースがたくさん見受けられます。

例えば、「今のままの自動車部品の下請けでは先が見えている、これからは電気自動車の時代になるから、燃料電池にわが社の資源を集中的に投下しよう」というようなことです。

テレビの報道などで電気自動車の露出が増え、政府も補助金を出すなどという状況になると、ますますその思いは強くなります。

そして、後れをとってはならないと、新聞、業界紙、そして身内の人たちの意見を聞いて、電気自動車こそ近未来の自動車の趨勢になるとして、取締役会にはかります。

しかし、その取締役会こそが、社長の『追認の罠』の集大成で、

イエスマンの集まりだった、という笑えない話がたくさんあります。

本来はここで冷静なハードルを設けなければなりません。

1.あなたの方向性は、あなたのいる産業の進化に関する真の洞察

  または予見に基づいているだろうか

2.あなたの洞察は、ライバルのそれに勝っているだろうか

3.自社の資源と、能力の特徴の正確な評価に結び付いているだろ

  うか

4.財務やファイナンスに与える影響はどのようなものか。それは

  いつからどの程度の期待収益をもたらすのか

こういったハードルを冷静にクリアしていかなければなりません。

こういった場合、一番有効なのが、外部の客観的で冷静なアドバイスです。

 

人は自分の直感を肯定したいという強い欲求を持っています。

また、細かい事実の積み重ねと、理論的な思考の組み立てと、大局的な知見を回避しようとします。

これは、スーパーの買い物などではむしろ必要なことです。

そうしなければ、晩御飯の買い物に10時間以上かかってしまいます。

しかし、経営戦略の決定には十分な洞察、事実の積み重ね、論理的思考が不可欠です。

よろしかったらご相談ください。

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