2013年

3月

05日

将来を担う幹部の人材戦略

2013年3月6日(水曜日)

団塊の世代も65歳を経過して、今日本では、経営陣の交代の動きが活発になってきています。

グローバル化、IT化と国内経済環境の変化の大きな変化の時代に加え、変化自体の短期化という4重の変化に企業は直面しています。

そのような、激動の中にあって、これからの経営を担う人材の確保が課題となっています。

そして、この変化の時代の中で、自社を競争力のある企業に成長させていくためには、トップをはじめとするコア人材の確保が重要であることは、このブログで再三お話ししてきたことです。

しかしながら、日本の経営層の人材戦略を見ていると、多くの問題点を抱えています。

問題1.コア人材を過去の実績だけで登用してしまう。

これは、過去のパフォーマンスが高かったことへの報酬として、役員への登用を決めてしまうということです。

今まで頑張って高いパフォーマンスを出したということは、コア人材になるために「必要条件」となりますが、「十分条件」ではなくなっているということです。

この選抜は、過去の成功パターンが将来も継続するという前提条件の中では高い機能を発揮しますが、先にも述べた4つの変化の時代の中では、むしろリスクの高いもになっています。

これからの経営層の人材戦略の上では、過去の成果の評価だけでは不十分で、「将来の経営で成果を出す」というコンピテンシーがあるかどうかを見なければなりません。

問題2.今の経営陣だけで将来の経営陣を決めてしまう。

これは、過去から現在まで成功を収めてきた経営幹部が、自分たちのやり方を踏襲してくれる人材を登用してしまうということです。

経営陣といえども人の子ですので、自分たち自らを自己否定することがなかなかできないという人間本来の性質を持っています。

ましてや、今まで成功を収めてきていればなおさらです。

今後会社が直面する戦略的課題やシナリオを検討し、その解決を担える人材はどういう人材なのかを客観的に判断する必要があります。

そのためには、外部の人間の客観的意見を中心に決定していくことが求められます。

そして、公式かつ客観的な選任基準・プロセスをしっかり確立することが必要です。

そして、従業員、取引先、金融機関などの利害関係者に対して、こういう客観的基準とプロセスで、将来の我が社をけん引するにふさわしい「資質」「能力」「リーダーシップ」をそなえたこの人材が経営を担うという納得を得ることが重要です。

こうした客観的基準とプロセスがなく、現経営陣が今までのプロセスで後任人事をけってしていくと何が起こるかというと、たいていは社内での非公式な政治的動きが活発になります。

ある程度の年齢になって、役員の可能性が出てきた人間は、現経営陣の顔色をうかがい、一挙手一投足に気を使うことにエネルギーを集中し、ライバルの足の引っ張り合いまで始めます。

顧客や従業員の方向を見ないで、上ばかり見るようになります。

ゴルフでもヘッドアップはミスショットの最大の原因ですが、幹部社員のヘッドアップは会社の競争力を著しく低下させます。

エネルギーが顧客に向かわず、社内の政治に使われるからです。

このようなことをしている余裕は、高度成長期の波に乗っている時ならいざ知らず、これからはやめなければなりません。

そのためには、

1.過去の高いパフォーマンスは必要条件だが十分条件ではない

2.将来の会社の経営で成果を出せるかが最重要である

3.選抜する際、独立した客観的な組織を活用する

4.明確な選任基準と選任プロセスを公開する

この考え方とスキームを作りこんで、将来を担う経営陣を選び、そしてその下働く人たちや、取引先・金融機関にも納得してもらうことは、現経営陣の最も重要な最後の仕事であることを再認識することが求められます。

いい古された言葉ですが、

三流の経営者は「金」を残す。

二流の経営者は「名」を残す。

一流の経営者は「人」を残す。

というのはやはり核心をついている言葉だと思います。