職場に広がる若者の「新型うつ」

2013年5月7日(火曜日)

2000年を過ぎ、多くの企業でのポスト不足やリストラなどが多くなり、成果主義の導入が進む中でうつ病に悩む労働者が増加しています。

そんな中で今、若者に特に顕著にみられる「新型うつ」という新たな問題が発生しているようです。

文芸春秋から出版された『職場を襲う「新型うつ」』という本を読んで感じたことを今日はお話ししたいと思います。

「新型うつ」は新型うつ病という表現はしていません。

いまだ、この若者に広がる「新型うつ」が病気として扱っていいのかそれともその人の人格に起因するものかが明確ではないので、病気という表現にはなっていません。

では、どういうことがこの「新型うつ」と「従来のうつ病」が違うのかというと、

従来のうつ病

年齢層:中高年

性格 :仕事熱心、几帳面、まじめ、責任感が強い

    会社など社会的規範への愛着

症状 :よいことがあっても気分は改善しない

    好きなことでも楽しめない

診断に対する態度:初期にはうつ病の診断に対して抵抗

認知と行動:疾病による行動変化が明らか

薬物の効果:多くは良好

予後と環境変化:薬物と休養で軽快しやすい

 

新型うつ

年齢層:青年層

性格 :もともと仕事熱心ではない

    会社など社会的規範への否定的感情

    自分への強い愛着、万能感、他罰的

症状 :職場では抑制状況が強くなる

    趣味など好きなことには積極的に活動

診断に対する態度:初期からうつ病の診断に協力的

認知と行動:どこからが病気でどこからが人格なのかわからない

薬物の効果:多くは部分的効果にとどまる

予後と環境変化:服薬と休養でしばしば慢性化する

という比較がなされています。

うつ病の場合は、会社にいるときはもちろん、会社を離れても気分がすぐれず、好きなことも楽しめないというような状況が多いのですが、新型うつの場合は、会社にいるときには心臓が締めつけられるような感覚に襲われたり、気分が落ち込むという症状がありますが、病気療養中で会社を休んでディズニーランドに遊びに行ったりして、会社を離れると全く普通の人間と変わらないように楽しむことができるというのです。

彼らの特徴の中で私が特にポイントとするところは、

・他罰的(自分は悪くない、そうなったの他の人のせい)

・プライドが高い(親子、兄弟、友達などの中でもまれた経験がな

 い)

という点です。

これは、20代の若者がゆとり教育などを受け、運動会では手をつないで徒競走をしてきたような、変な平等感を醸成したことも原因にあるのではないでしょうか。

世間にもまれるという経験も少なく、そのうえプライドはしっかり植えつけられていますから、たとえ自分が失敗したとして上司から怒鳴られでもしようものならば、上司の教え方が悪いというような他罰的な感情を抱くことになり、しかし、反発もできないので鬱積していくことになります。

でもここで若者だけを責めてみても仕方ありません。

これらの20代以下の若者が、10年後20年後には社会の中心として活躍していくようになってもらわなければなりません。

職場こそ人間を育てる最も効果的な場として、このような若者のもつ特徴を理解し、悪い面だけを見るのではなく彼らの持つITネイティブなコミュニケーションを活用してくような歩み寄りが必要だと感じました。

すでに、企業中には「新型うつ」に対しての対応を始めていて、それが会社の全体的な組織活性化につながっている事例もあります。

重要なのは、これら若者の一人ひとりの人格や性格として捉えるのではなく、時代の移り変わりの中で必然性を持った現象であることを理解して彼らと向き合っていくことだと思います。