2013年

7月

13日

2種類のインフレーション

2013年7月15日(月曜日)

来る7月21日(日)は参議院選挙の日です。

すでに、自公の勝利が見えているというもっぱらの噂ですが、その信憑性はかなり高いのではないかと私も思っています。

アベノミクスによるインフレターゲットというのも、かなり話題になっていますが、今日はインフレーションについて触れてみたいと思います。

インフレーションといっても、2つのインフレーションが存在します。

1.ディマンド・プル・インフレーション

2.コスト・プッシュ・インフレーション

ディマンド・プル・インフレーションは、アベノミクスが期待するインフレーションです。

金融緩和でお金を市中に供給し、金利を低くすれば、企業の設備投資が増えて、雇用が改善し、その給料で買うものが増えるので、総需要が増える、すると供給が不足してモノ不足状態になり、物の値段が上がる。という、最終需要側が増加することによってモノの値段が上がることで起こるインフレです。そして、モノの値段が上がると給料が上がり、そして、購買意欲が増し、モノ不足が発生し、雇用が増え、給料が増え、給料が上がるという、昭和の〇○景気などというインフレ循環を繰り返すというシナリオです。

このような時代は、国民は政治にあまり文句を言いませんから、やりたい政策を推し進めることができます。

2番目のコスト・プッシュ・インフレは、需要があるなしにかかわらず、原材料の高騰によりメーカー側が高騰分を吸収できずに、やむを得ず値上げをする場合です。この場合は、特に雇用や給料のUPというのは見込めないので、ディマンド・プル・インフレーションのように、価格のUP⇒雇用のUP⇒所得のUP⇒消費のUP⇒需要のUPというサイクルは生まれません。

逆に、所得がUPせずに物価が上がれば、景気はますます悪くなってしまいます。

では、現在起きている現象をどのように見ていけばいいのでしょうか。

実は、グローバル経済では、図式はかなり流動的です。

つまり、輸出依存企業と輸入依存企業の問題と、大企業と中小企業の問題というプレーヤーによって状況が変わってきています。

まず、

輸出を中心とする大企業=輸出増による好景気

輸出を中心とする中小企業=一部は輸出増で数量は増えるが、一部は原料を輸入に頼っていて、そのコスト上昇分を価格に転嫁できずに厳しい状況

輸入を中心とする大企業=価格を転嫁できる地位にあるため、売上的には問題はないが、販売数量はあまり見込めない。

輸入を中心とする中小企業=原材料のコスト上昇分を価格に転嫁できないで、更に数量が減少するという2重苦に陥る危険。

このような状況があると思われますが、それぞれの割合がどれくらいあるかで、全体の判断がなされるわけですが、輸出を中心とする大企業というのはあまり多くはありません。大企業は、円高や日本と海外との人件費格差などで、海外に生産拠点をシフトしてしまっており、輸出割合をどんどん減らしてきました。

したがって、輸出中心の大企業というのは、数でいえばほどんどないに等しいくらいになっています。

全体で見れば、貿易統計からしても、最近は輸入超過であり、燃料や基本食物などのインフラ部分が急騰しています。

以上を見ると、これから起こるインフレーションは、アベノミクスが期待するディマンド・プル・インフレではなく、需要が増加することのないコスト・プッシュ・インフレになるのではないかと思います。

実際に、食料品やティッシュ・ペーパーなどを見ても、価格は上げない代わりに、量を減らすという「なんちゃって値上げ」が最近目立ってきています。

わたしはこのブログで常々申し上げていますが、日本の人口減という量的問題と、少子高齢化という質的問題の2重苦は、インフレターゲットなどという、経済政策だけで景気が回復するような問題ではないと思っています。

経済政策の3本の矢は、抜本的な規制緩和と、移民政策を含む長期的な人口構成政策と連動させなければ、的を得ることは難しいと思います。