現象と原因

2013年9月8日(日曜日)

気温と湿度の猛烈に高い東京の夏もようやく峠を越えた感じがするここ2~3日の天気ですが、このまま涼しくなってくれるのでしょうか。

9月に入ると市場は、12月の年末商戦に向けての生産、営業活動が本格化することになります。

最近は、年末だけでは後半の売上が不足することから、ハロウィンというキリスト教に由来するイベントを、クリスマスのように取り入れて普及しようとしてマーケティング活動をしています。

日本人の宗教に対するおおらかさというか、節操のなさというか、これは、江戸時代にも見られる(特に町民や庶民)現象です。

話は、まったく変わりますが、最近経営者の方とお話ししている中で、現象と原因を混同されてお話しされる方がたくさんいらっしゃって、問題解決が対症療法的になっていることが、問題をさらに先に伸ばし、そして大きくしてしまうケースがあるので整理しておきたいと思います。

例えばこのような事例があります。

ある百貨店では、バブル崩壊後、売り上げがずっと低迷していていました。

売上の中心だった衣料品や家電製品や家具などは、郊外の専門店に顧客を持っていかれていました。

原因は、我が百貨店は値段が高いから売れないのだという結論でした。

そこで、この百貨店は、価格を下げてその分コストを抑えなくてはならないので専門知識を持った社員を削減し、パートタイマーを増やしマニアルに沿って売り場の運営をするような形になりました。

しかし、価格を下げたところで郊外の専門店からお客さんが戻ってくることはありませんでした。

それは、原因は価格の高さにあるのではなく、百貨店の存在意義を見失い、顧客にその価値を訴求できなくなったからなのです。

顧客が百貨店に求めている「ライフスタイル提案」という最も重要な価値をないがしろにし、ただ「高級感のある『モノ』の販売に陥ってしまっていた」から売れなくなったという『真の原因』を理解されていませんでした。

百貨店は、顧客が日常では体現できないモノを含めたコトを売る場所であり、マニアルの対応ではなく、執事のような個人個人の問題に沿った対応という価値を提供する場所なのです。

そうは言っても安い方がいいという人はいるでしょう。そのようなお客様には、郊外の量販店を親切に教えてあげることが、百貨店のコンシェルジュ対応です。

日本の全員に買ってもらう姿勢ではなく、「価値あるライフスタイルを自分らしく送りたい」という人に、生涯のパートナーとしてお付き合いいただくという明確なターゲットを定義し、その方々に対して徹底的にサービスすることが百貨店の方向性であることをお話ししました。

「それ以外の人には、大変申し訳ないですが来ていただかなくて結構です。それは、お客様の求めている安いものを単に販売するということが、我が百貨店の役割ではないからです。」という明確な割り切りをすることが必要であり、逆に価値を理解していただく顧客には徹底的に丁寧に、専門的知識も含め対応するということが、逆に百貨店の顧客を維持し、さらに拡大する唯一の方法であること伝えました。

価値の多様化の中、最大公約数という高度成長期のような商売から脱して、明確な価値の創造を行い、ターゲットを決めて、徹底してマーケティングすることが、逆にたくさんの人を呼び込むことになることを提案しました。

現象を見て、対応すると競合相手ばかりに目が行きがちです。

しかし、原因を追究していくと、けっこう自らに原因があることがたくさんあるものです。

私も、自戒を込めて「現象」と「真の原因」の違いを理解し、問題解決力を高めていきたいと思います。