2013年

9月

29日

インフレと所得低下

2013年9月29日(日曜日)

時事通信の9月27日の報道によると、民間企業で働く会社員や、パート・アルバイト、派遣などの非正規従業員が2012年の1年間に受け取った給与の平均は408万円で、前年を1万円下回り2年連続で減少したことが27日、国税庁の民間給与実態統計調査でわかったとあります。

国税庁が抽出した企業約2万社で働く約29万人の給与から全体を推計しています。

役員を除く正規従業員の平均は467万円(男性520万円、女性349万円)。非正規は168万円(男性225万円、女性143万円)です。

また、同じ日の読売新聞の報道では、8月の消費者物価指数は、値動きの大きい生鮮食料品を除く総合で、前年対比0.8%上昇したということです。

こちらは、3か月連続で上昇しており消費者物価が確実に上昇していることがわかります。

民間給与のデータは2012年で消費者物価のデータは2013年ですので明確なことは言えませんが、民間の給与のトレンドが変わらないとすれば由々しき問題だと思います。

アベノミクスが理想としているのは、成長戦略に基づいた「ディマンド・プル・インフレ」つまり、景気がよくなって給与が上がって需要が拡大することでインフレが起きるオーガニックなインフレを目指いしています。

しかし、今回の消費者物価の3か月連続上昇を見る限りそうではないように見えます。

では、どうして3か月連続でインフレが起きているかというと、私は2つの要因があると分析しています。

一つは、円安に振れたことと原発が停止したことにより、輸入に頼っている燃料の価格が上昇し、電気料金・ガソリン代の値上げという「コスト・プッシュ・インフレ」が消費者物価を押し上げています。また、原材料を輸入している消費財も値上げされており、需要の増加ではなくて、コスト上昇に伴うインフレとなっているということが1点。

第2点目は、来年4月の消費税導入に伴う需要の先食いです。

耐久消費財などを、消費税が上がる前に購入しておこうという動きが、消費者物価を押し上げている可能性があります。

特に、住居関連にともなう需要について、来年の4月以降から現在にシフトしてしまっていると考えられます。

この仮定で、来年消費税を上げることがあれば、間違いなくその反動で景気は落ち込むことが予想されます。

2013年の民間給与が上がっていることを望むばかりですが、あまり楽観視できない状況です。

なぜなら、やはり、人口の減少という量の問題と、人口構成の高齢化という質の問題は、構造的にデフレに向かう大きな流れであり、この問題を根本的に改善しない限りディマンド・プル・インフレは難しいと思うからです。

同じインフレでも、「ディマンド・プル・インフレ」と「コスト・プッシュ・インフレ」では、景気の先行きは全く逆になってしまうので、インフレの原因をしっかり見ていくことが重要だと思います。