食料消費のデフレ構造

2013年10月20日(日曜日)

昨年末からアベノミクスに対する期待により、世の中の雰囲気は景気回復の期待から、若干、消費が改善してきているような雰囲気があります。

現在のところ、コスト・プッシュによるインフレが始まっていてあまりいいインフレではないということを前々回のブログでお話ししましたが、なんと、経団連が音頭を取り、企業に対してベアのアップを促進しようという、とてもエキセントリックな動きが見られます。

いかに、労働組合の力が無くなっているかということがわかります。

今回から、景気の先行きを見る上で消費を見ていきたいと思いますが、その消費の中でも、食料という基本的な部分についてみていきたいと思います。

食料の消費というものを見ていくために、農林水産省が出しています「食品産業動態調査」というものを軸に、いろいろなデータを見ながらお話ししたいと思います。

まず、国民の消費に対する食料に対する支出がどれくらいあるのかを見ていきたいと思います。

先ほどの農林水産省の資料によりますと、「勤労者世帯における1か月当たりの実収入と食品消費の推移」というデータを見ます。このデータは皆様、昔、小学校か中学校で習っておなじみの、エンゲル係数というものです。

このデータを見ますと

平成 5年 23.2%

平成24年 22.1%

となって、消費全体に対する食品消費(エンゲル係数)が下がっているのがわかります。

これは、通常、収入が順調に伸びて、食品という基礎的な支出はあまり増えず、その他の娯楽やぜいたく品に対して支出が増えていくという流れからすれば理解しやすい内容です。

それでは、この間、収入がどれくらい増えているかというと

平成 5年 570,545円

平成24年 518,506円

なんと、上がっているどころか、10%近くも減っているのです。

これは、高度成長期の流れから見るとコペルニクス的転回です。

では、なぜこのようなことが起きているのかを分析したいと思います。

考えられる仮説は

1.国民一人あたりの食品消費量が減っている

2.食料品の物価が下がっている

と、大きく2つのことが考えられます。

1の国民一人あたりの食品消費量についてみてみます。

これは、ちょっと長いスパンをを見てみます。

国民1人当たり摂取熱用

昭和45年 2,210Kcal/日

平成8年 1,867Kcal/日

となっています。

これもまた、驚くべき数字です。なんと、1日あたりの摂取カロリー数が昭和45年にくらべて15%以上も減っているのです。

しかし、昭和45年にメタボが社会問題にされたことはなく、15%も摂取カロリーが減っている現代にメタボシンドロームが問題になり、ダイエットブームが収まらないという状況になっているのはどういうことでしょうか。

これを私なりに分析しますと

1.仕事の機械化・IT化による仕事の変化

2.家電の自動化による日常生活の変化

3.高齢化による摂取量の減少

4.食べ盛りの子供の減少

が考えられると思います。

これを、ひとつひとつ見ていくと、昭和40年代高度成長期では、仕事といえば肉体労働を伴う労働が多くを占めているという労働集約型の産業が多くありました。しかし、その労働は現在では機械やロボットにとってかわられ、IT化が加わりコンピュータ制御による知識集約型産業に大きくシフトしました。また、労働集約型の産業は、中国やアジアへとシフトしていきました。

現在オフィスで働く人は、1日中コンピュータの前でキーボードとマウスを動かすくらいの労働です。

2.の日常生活も、自動化が進みスマホが1つあれば、情報入手から買い物などが済んでしまう時代です。掃除、洗濯、料理なども自動でやれる部分が多くなっています。

遊びについても、外に行って暴れ回らなくても、ゲーム機があれば夜中まで遊んでいられるような面白いものがたくさんあります。

いかに、昭和45年と比較して我々のカロリー消費が減っているかに驚かされます。

3.の高齢化により、昔たくさん食べていた人も摂取量を落として

 いることは間違いないことです。

4.そして、その分を埋めるべき子供の数が圧倒的に減っているこ

 とも容易に理解できると思います。

まとめとして、今の日本を一人の人として見ると

年は働き盛りを過ぎて、パソコンで仕事をして、食欲も昔ほどなくなって、子供も少なくて、家ではあまり動かない中高年の人。という感じでしょうか。

これから、団塊の世代のさらなる高齢化と死亡ということが起きていけば、この消費の20%を占める食品消費は構造的に減少していくことは間違いないと思われます。

そうすれば、カンフル注射的なアベノミクスでは対応できない、老化による景気位減退は避けられないものと思います。

しかし、一人の実際の人間は若返ることはできませんが、日本はやり方によって若返ることが可能です。優秀な若い人をたくさん海外から呼ぶことが最も重要な施策であることは、何度もお話ししているところです。そのためには、中央集計的なやり方と規制について見直す必要があります。