2013年

11月

24日

退職金大幅減の意味と人材戦略

2013年11月24日(日曜日)

厚生労働省が11月21日発表した、定年を迎えたサラリーマンの退職金は、5年間で大幅に減っているという結果でした。

その数字を見ますと

2012年度に定年を迎えたサラリーマンと2007年度との比較

大学卒

  平均     2280万円 ⇒ 1941万円 339万円減

  勤続35年以上 2491万円 ⇒ 2156万円 335万円減

高校卒

  平均     1970万円 ⇒ 1673万円 297万円減

  勤続35年以上 2238万円 ⇒ 1965万円 273万円減

(大学卒、高校卒とも「管理・事務・技術職」の定年退職者。

 一時金と企業年金との合計)

厚生労働省によれば、「原資」の運用に苦しむ企業が支給基準を見直す動きがあったことなどが影響したというコメントがありました。

しかし、構造的に定年退職金は減少していくという方向にあると私は分析しています。

高度成長期に作られた退職金制度は、年功序列的給与体系であり基本給のベアアップが当然のように毎年行われ、定年間際まで給料が上がり続けるというものでした。

それは、労働市場が人手不足であるという前提のもとに、会社に長く勤続すればするほど給与も退職金も上がっていくというシステムで人材を確保しようという目的のもとに作られたものでした。

しかし、バブル崩壊後、人手不足から人手過剰という状態になり、年功序列から成果主義へと大きく舵を取られてから、長く勤続すれば自動的に給与も退職金も上昇していくという流れは変わってしまったのです。

更に、IT化とロボット化、グローバル化による労働集約型労働の海外移転により付加価値の低い仕事はどんどん国内からなくなっていきました。

市場原理に合わせれば、こういう状況の場合、必要なくなった人材はある程度のインセンティブを与えて解雇するというのが、諸外国の流れです。

しかし、日本の場合、政府と厚生労働省の失業率上昇に対する異常な対応により、企業に人材を張り付けるような政策を続けてきました。

そこで企業は、新卒の雇用の抑制と既存社員のベアのダウンという対応で、本来調整すべき人員を減らすことなくここまでやってきています。

そのベアダウンが定年退職金減の理由でもあると推測しています。

そして、今後、グローバル化、IT化・ロボット化が進展していく中では、年功序列のような報酬の後払い清算型の給与体系ではなく、今現在のパフォーマンスに対する即刻支払型の給与体系にならざるを得ません。

大企業でも永遠と継続するかどうか不安定になっている時代に、後払い清算型の給与体系は、働く人にとってもリスクが高いという意識に変わっていくと思います。

中小企業で働くサラリーマンならなおさらでしょう。

そして、ボーナス額を気にしていた時代から年棒総額を問題にするようになったように、退職金の金額というものより生涯で稼げる金額はいくらなのかという認識に変わっていくと思われます。

同じ企業にずっといるより、複数の企業を経験してキャリア・アップしていくという欧米型のキャリア・プランという流れになっていくでしょう。

そして、これからは、優秀な人材とそうでない人材の生涯給与の格差は広がざるを得なくなります。

それは、これからの企業人材に求められるのは、全体レベルを平均的に上げるという発想ではなく、優秀なコア人材が会社をけん引していくという時代に入っていくと思われるからです。

それは、大量生産のための量を求める人材獲得から、世界で戦えるクリエーティブなスキームを創れる人材獲得への移行を意味すると分析しています。