団塊の世代と経済

2014年3月30日(日曜日)

今年も明けてから早や3か月が経過して、年度としては年度末という時期になりました。この時期は人事異動が行われ、定年退職する人も大勢いることと思います。

特に、団塊の世代の人々が本来は定年60歳で終了するところを、年金財政の問題から定年を5年間なんらかの形で遅らせるよう政府と行政で制度を作ったために、一昨年ぐらいから団塊の世代の定年退職が始まりました。

団塊の世代を定義すると、狭義では1947年~1949年の3年間、つまり昭和22年~24年に生まれた方たちです。広義の団塊の世代はそれに1950年と1951年生まれの人達を加えた5年間の人口約1063万人をいいます。

ここでは、広義の1063万人が日本経済に与えてきたインパクトのお話をしたいと思います。

戦後間もなく生まれた団塊の世代の方々は、戦後復興期の高度成長の原動力として「金の卵」といわれ、兄弟の多い地方の長男以外の方々が都市部に就職し、第2次産業の労働力として活躍されてきました。需要に供給が追いつかず機械化も進んでいない時期でもあったため、労働集約型でしかなかった製造業では慢性的な人手不足となって、そこで生まれたのが年功序列型給与体系でした。つまり、長く会社にいるほど給与が上がり将来が楽になるよ。というオファーです。このシステムが心配性の日本人には受けて、ほとんどの企業でこの制度が採用されました。

彼ら彼女らは、青年の時期に、一部で資本主義に対するプロテストを行ったりしましたが、基本的には好調な経済に乗り、ビートルズやファンションや文化的な生活を送ることを志向したのです。

そして、旧日本の家族制度から脱して、長男でさえ家を出て家を郊外に持つという生き方を選んだのです。そこに、地方から就職してきた人たちも加わり都心から郊外に自然と人々は移ることになります。

そこで、大都市の郊外開発が一挙に進み、鉄道会社はそれに併せて県外まで長く鉄道を整備することになります。

そして、家と車と家電そして家具などの高額品がどんどん売れて、それを生産する企業が世界レベルまでに大きくなり、日本をGDP世界第2位まで押し上げたといっても過言ではありません。この団塊の世代の方々が、新たな価値観を持ちながらいろいろな消費を貪欲にしてきたことは、今の日本の経済の核を担ってきたと言えます。

この団塊の世代の方々も含めた高齢者の増加がこれからの日本の課題であり、また、新たな社会への変革の機会でもあると私は思っております。

それは、どういうことかというと、高齢者になれば身体が衰えてきていろいろな障害が出てくることで、現在のインフラではこれからの超高齢化社会には対応できなくなると思うからです。

誰でも年を取るにしたがって、視覚障害・聴覚障害・言語障害・心臓疾患などの内部障害・認知症などの精神知的障害、そして体の一部が不自由になる上肢障害・下肢障害・運動機能障害・体幹障害などが増えてきます。我々もいずれそうなる可能性は高いのです。

これから、こういった障害を持たれるお年寄りが増えても、自分でいろいろなところに出かけることができて、いろいろな活動ができる社会を作り込んでいかなければならない時期が迫っています。

車いすも自動で動かせることができるようになってきていますが、将来たくさんの車いす生活者が増加した場合にストレスなく自分の力で移動できる環境を作ることが重要になってきます。道路や歩道、そして駅や乗り物、そして乗り換えなどの案内など「見えない」「聞こえない」「車いすに乗っている」人たちにも分かりやすく自分で使えるようにしていくことが求められます。

年を取れば、介護という方向性を想像するのではなく、不自由なところがあってもアクティブに生活できる社会を創ることこそ、これから求められることであり、経済を活性化する上でも重要な要素であると思われます。

何故か、それは、一人っ子政策の中国や韓国も含め、あらゆる国が途上国を終えて成熟していくと、寿命は延びるが子供の数を抑える傾向にあり、行き着く先は日本と同じ問題に行き着くと思われるからです。

その時に、日本の経験と知識とスキルが価値を持つことになると私は思うのです。