2014年

8月

02日

労働市場を激変させるクラウド・ソーシング(2)

2014年8月2日(土曜日)

先週クラウド・ソーシングについて、概要をお話しさせていただきましたが、今週はもうちょっと詳しくその内容と重要性についてお話ししたいと思います。

まず、クラウド・ソーシングの内容についてです。

クラウド・ソーシングの意味合いは、「世界中のタレント(才能・頭脳)を自社の目的のために徹底的に活用する」という考え方です。

今まで、もし、企業においてイノベーションやR&Dを行う場合、

1.会社内の人材を再教育する

2.新しい人材を採用する

3.外注先・委託先を探して発注する

といういずれかの能力を手に入れなければなりませんでした。

しかし、例えば1の「会社内の人材を再教育する」というのは、そもそもその資質があるのかという問題と、時間については非常に長い時間がかかるという問題を孕んでいます。また、人材を再教育する人が存在するかという問題もあります。また、2の「新しい人材を採用する」という問題は、失敗するというリスクと採用までの時間と費用がかかり、さらに固定費の増加という問題を抱えています。

3.の「外注先・委託先を探す」というものは、固定費は増加することはありませんが、サーチコストと的確な先を探す時間がかかります。

しかし、世界中のタレントが登録しているクラウド・ソーシングのプラットフォームを活用すれば、人材を教育したり、採用したり、探すという3つの作業を大幅に削減することが可能です。

つまり

1.スピードが格段に速い

2.コンペ方式で行えばコストが抑えられる

3.要求するレベルの才能が世界レベルで獲得できる

という3つの利点を持っています。

なぜ、この3つが重要であるかは、現在の経済の状況をみればすぐ理解できます。

現在の企業の置かれた状況は、グローバルと変化スピードです。

世界的な競争によりスピードを求められていて、遅いということは企業経営の中で非常にリスクの高いモノにつくようになっています。

M&A戦略が世界中で採用されている理由も同じです。

M&Aを行っている企業の目的は、規模の拡大というだけではなく、それよりももっと大きな目的は、「時間」を買うという概念です。

自社の持っていないものを自前で確立するよりも、持っている会社を買った方が早いということです。

企業文化も背景も違う企業を買収するのは非常にリスクも高いのですが、それよりも時間的に遅れることのリスクの方が大きいという背景があるために、アメリカの企業はシリコンバレーのベンチャーなどを支援したり資本を入れたり買収して先に市場を獲得することに力を入れています。

また、アメリカでは、NASAや行政など公的機関も盛んにクラウド・ソーシングを活用していますし、機密を重要視する軍事部門もクラウド・ソーシングを活用して、大きな成果とコストダウンを実現しているという事実がどんどん出てきています。

そして、面白い事実として、例えばNASAの抱える問題を解決するのにクラウド・ソーシングでその問題を解決するように投げかけたとき、要求以上の回答がなされて、それがどんな人かというと、なんと、宇宙の専門家ではない違う分野の科学者だったという事実です。

つまり、ある分野で長い間解決できなかった問題が、ある分野では既に答えを持っているという可能性があるということです。

ここから見えてくることは、これからの時代のイノベーションは、多様な才能を集めるダイバーシティの才能獲得が重要であるということも示唆しています。同じような経験と頭脳ばかり集まっているよりも、多角的な才能がイノベーションを進めていく上で必要であるということだと思います。

そういった、多彩な才能を活用する上でもクラウド・ソーシングはとても魅力的なシステムです。

そうなると、優れた才能を自社で保有することも重要ですが、最新の多彩な才能をその場で利用するという考え方は、サーバが自社保有からASPやレンタルサーバになり、現在はクラウドに移行し使っただけの従量課金に変更してきたことと似ています。

しかし、人材がクラウド・ソーシングにすべて移行すると言っているわけではありません。

労働集約型で経験が重要視され、人と人が介在するサービスや接客などはクラウド・ソーシングは向きません。

また、クラウド・ソーシングを利用するには欠かせない重要なことがあります。

それは、クラウド・ソーシングを活用するには、世界中から出されてきた「提案」なり「答」を評価する力がなければならないということです。その能力がなければ、イノベーションに最もふさわしい提案を却下し、いままでの延長線上の改善レベルの提案を採用するということにもなりかねません。

そのためには、提案を受ける側の力をクラウド・ソーシングを活用しながら開発していく必要があります。

サーバが固定費から変動費に近いものになってきたように、人材も固定費から変動費にできる部分がクラウド・ソーシングによって実現しようとしています。

5倍のスピードと5分の1のコストがクラウド・ソーシングで実現されている状況です。

つまり、小売業態にe-コマースが入ってきてアマゾンや楽天などのプラットフォームがインフラを整えたことにより、その売り上げ規模はうなぎのぼりで高まったことと、同じことが労働市場で起きているということです。

まず、クラウド・ソーシングがどのようなもので、プラットフォームがどう進化しているのかを理解することから始めることをお勧めします。