2014年

8月

24日

日本ではハードルの高いリバーズ・モーゲージ

2014年8月24日(日曜日)

日本における最大の社会的ならびに経済的問題でもある高齢化に伴い、今後高齢者が豊かに暮らしていくためのお金の問題があります。

現状から将来を予測すれば、医療費や介護費の負担増や年金の金額の削減など、多くの高齢者が豊かな老後を享受できるか楽観できないというのが正しい判断です。

そのような中で、リバース・モーゲージという金融商品が話題に上っています。

これは、簡単にいうと、今住んでいる土地住宅を担保にお金を借りて、そのままその家に住み続けて、契約満期になったら利息分を含めたお金を返すか、契約期間中に契約者が死亡した場合は担保により清算する仕組みです。

アメリカでは、かなり前からこのリバース・モーゲージという金融商品が利用されています。歴史と共に、制度も進展しています。

この制度があれば、家と土地は持っているけれど、生活資金が足りない、家の修繕が必要だがお金がない、夫婦で海外旅行に行きたいがお金がないという老後の必要資金調達の有力な選択肢になるのですが、日本の場合そう簡単には一般的に利用するということにはならないと思います。

まず、はじめに日本人の家に対する精神的執着感があり、単なる資産という概念ではなくもっとアイデンティティな意味合いを含めた愛着があるということです。

2番目には、日本の住宅の資産価値は、建物にはほとんど価値はなく不動産価値=土地価格という状態にあり、アメリカのように家を少しずつ回収していけばむしろ価格が上がるなどということはないので、建物が正当に評価されないという問題があります。

3番目は、2番目とも関連しますが、アメリカではコンドミニアムつまりマンションもリバース・モーゲージの対象になりますが、日本では土地がないので対象になりません。

更に、契約できる条件もハードルとなります。

現在、リバース・モーゲージを扱っている組織は、武蔵野市などのパブリックセクターとみずほ銀行・東京スター銀行などのプライベートセクターがありますが、まだ、数は多くありません。

その、利用条件を見るとおおまかにいうと以下のようなものです。

1.契約時の年齢の制限(主に60歳~83歳など)

2.自宅にひとりぐらし、または、夫婦二人暮らし

3.配偶者には連帯保証人になってもらう

4.対象となる不動産価値の下限設定(1500万円以上など)

5.自宅土地などに他人の権利が入っていないこと

6.住宅ローンを完済していること

7.貸付限度額は不動産評価額の50%~70%程度

などがあります。

また、借入する際の金利の高さや、いろいろな手続きの手数料などもバカにならない金額になります。

リバース・モーゲージのリスクは3つあります。

1.金利変動リスク

金利は変動金利がほとんどですので、金利が上がった場合は返済の金額が上がるので、不動産評価額が変わらなければ、契約期間前に担保割れが発生し融資を打ち切られる。

2.長生きリスク

長生きすることがリスクになるという悲しい現実がこのローンにはつきまとう。つまり、長生きしたことにより存命中に借入金残高が不動産評価額を超えてしまう。

3.不動産下落リスク

契約期間中に、担保となる不動産価値が下落し、担保割れが発生する。

これらが発生した場合、利用者がリスクを負担し、担保割れが生じた段階で融資は打ち切られる。

この事態をある程度勘案してか、ある銀行は対象地域を都市部に限定しているところもある。

 

しかし、私は、リバース・モーゲージ自体はこれからは必要な選択肢の一つであるという考え方であり、今住んでいる住宅をバリアフリーに変えたいがお金がないなどという資金需要において有効な金融商品になっていくと信じています。

従って、利用する人たちが、高齢者であることが多いことから、リスクをしっかり説明してもらい、金利や手数料などの意外と見落としがちな部分も把握したうえで決定していけるようなインフラ整備をアメリカのような機関を設けて作っていく必要があると思います。

さらに、不動産=土地という日本の常識を打破し、建物を適正に評価できるような中古住宅評価制度が必要ではないかと思っています。