日本の土地の価格

2014年9月21日(日曜日)

先日、国土交通省から「平成26年都道府県土地調査」が発表されました。

これは、平成26年(2014)の7月1日現在のデータです。

土地の価格は、いろいろな要因で上下しますが、日本の経済並びに社会的トレンドを移す鏡でもあるので、私なりに総括してみたいと思います。

まず、前年対比で起きている事実を確認します。

1.全国的には、住宅地・宅地見込地・商業地・工業地すべての用途別の

  土地の価格が昨年より下落しています。

2.東京圏・大阪圏・名古屋圏の三大都市圏では、住宅地・商業地が若干の

  上昇で、工業地では、東京圏が若干の上昇で、大阪圏・名古屋圏は下落

  となっています。

3.下落率は全国的には改善しています。

これを見る限り、日本の経済が回復に向かい、土地購入の実需が増えているようにも見えますが、そうとばかり言えません。


なぜ、そのように推測するかというと、もう少し長期的なデータを見るとこのような上昇基調は、バブル崩壊後2度目となります。

まず、1991年にバブル崩壊において、日本の土地神話という長い間日本の土地において信じられてきた「土地の値段は下がらない」という神話が、それまでの異常な土地への投機マネーが一気に土地からキャッシュに戻されたことによって崩壊しました。

特に、大阪圏・東京圏の下落は暴落と言えるほどの二桁台の下落を1993年まで続けて、金融機関も不動産会社も倒産するという戦後の日本経済でも類を見ない経済的危機を経験しました。

ただし、地方圏は1991年~1992年のバブル崩壊の影響は少なくて済んでいます。

つまり、大都市圏に投機マネーが異常に流入していたことがわかります。

しかし、1993年からは、地方圏も下落が始まります。

そして、1993年の全国の全用途合計の土地価格は、今年2014年の7月1日まで21年間下がり続けています。

そのなかで、今回のような大都市圏の回復基調は2005年から2008年にかけて発生しています。

この時期は、2001年に発足した小泉内閣が「改造内閣」を掲げ、規制撤廃、小さな政府をめざし2006年の第3次内閣まで上昇ムードをつくり、そして同時に今回のような大幅なゼロ金利政策が執られた時期と重なります。そして、2006年の途中から、安倍→福田→麻生の3名が1年ずつの短命内閣と変わっていき、2008年9月15日にリーマンショックが発生し、急激な円高と土地の急落が発生しました。

そして、2013年アベノミクスにより3本の矢と称して、「大胆な金融緩和」「財政出動」「成長戦略」を進めることとなり、「成長戦略」以外の「大胆な金融政策」と「財政出動」は実行されました。それにオリンピックの東京開催というものが加わっているのが現在です。

しかし、ここにきて、4月の消費増税と、円安による物価上昇によりGDPの実質成長に黄色信号から赤に灯りはじめました。

ちょっと、話が土地の価格からずれてしましましたので話を元に戻します。

ここで私が言いたいことは、今回の大都市圏での土地の上昇(住宅地と商業地)は実需はある程度あるにしても短期的なバブルではないかという推測です。

つまり、大胆な金融政策で、政府はゼロ金利政策により、大量の国債などの債権を買い取り、市中にお金をジャブジャブにしました。

本来ならば、お金が大量にあり金利が安いとなれば、企業がお金を借りて設備投資をして付加価値の高い財やサービスを提供することで、消費も拡大し、給与も上がりという好循環が生まれるというシナリオですが、人口減と少子化と生産への海外シフト等により、国内での設備投資意欲が企業にはなくなっています。

その結果、大量に市中に投入されたマネーの行き場として、株と不動産に流れているというのが現状ではないかと分析しています。

つまり、都心部の商業と住宅の実需とオリンピック需要に大量の資金が流れ込んでミニバブルを形成していると考えています。


ここで重要となってくるのが次の項目です。

1.人口問題の対策

2.日本のグローバル経済での位置付けの明確化

3.それに対する産業構造の変革を進める行政の対応

4.地方が自律的に経済を回復するための中央集権からの脱皮

日本は、もう、お金をジャブジャブにしても吸収できる需要が減っていますし、財政出動でばらまき続けられる資金も枯渇して、すでに借金漬けになっています。

日本の現状は厳しいということを国民に説明し、先延ばしにしている問題を抜本的に解決しないともうカンフル注射も効かない時期に来ていると思っています。