2014年

10月

19日

イノベーションの難しさ

2014年10月19日(日曜日)

ピーター・F・ドラッガーが生前、経営について強調していたことの中に、経営にとって重要なことは、イノベーションとマーケティングであるというのがあります。

しかし、この2つのうちのイノベーションについては、大企業であってもなかなか進まないのが現状です。

なぜ、イノベーションがなかなか進まないのかを、今日は、お話ししたいと思います。

まず、イノベーションに対する意識の問題ですが、イノベーションは、きわめて創造性が豊かな一部の人が考えだし、設計し、実行するという考えが企業内に蔓延しているということです。

企業のR&D部門が研究に研究を重ねて出てくるようなイメージを持っている人々が多くいるということがあります。

しかし、イノベーションは、製品そのものに限って行われるものではなく、サービスについてもイノベーションは必要ですし、その提供の仕方についてもイノベーションは必要です。

もう一つ、イノベーションが進まない理由は、人間は、過去の成功体験や、過去のやり方を変えるということに対して本能的に高いリスクを感じてしまうということです。

従って、前提条件(社会的環境、テクノロジー)が変化しても、過去の前提条件に成り立った成功方程式をなんとかあてはめて、小手先の修正ですませようとするという、いわば本能的な弱点を持っていると思います。

この点について、ラリー・キーリー著 平野敦士カール監修の「ビジネスモデル・イノベーション ブレークスルーを起こすフレームワーク10」という本の中に、人間がイノベーションを起こすことの難しさを表現している部分がありますので、そのまま引用させていただくと次のようなページがあります。

「なじみのないものを胡散臭いと思うのは自然な反応だ。というより、自然そのものだ。われわれ人間はそのようにつくられているのであり、それは世界の通常のパターンが、突然、通常ではなくなったとき、われわれに警戒態勢をとらせる自己防衛メカニズムなのだ。後ろの茂みでカサカサという音がしたら、アドレナリンが全身を駆け巡り、不安が脳を埋め尽くして、われわれは猛ダッシュで逃げる。だが、時を経るなかで、どのカサカサは無害で、どのカサカサは本物の危害をもたらすかを、われわれは識別するようになる。

歴史家で人間主義者のマイケル・シャーマーが言ったように『人間は世界を理解しようとして、パターンを求め、物語を語る動物』なのだ。この人間本来の習性のおかげで、われわれは何千年もの間、ライオンやトラやハイエナに食われるのをのがれてきたのである。

だが、この習性は、何であれ新しいものやなじみのないものについては不安をかき立てるきらいがある。原則的にはみんながイノベーションに賛成でも実際には、われわれは自分たちの世界を安全で確実なところにしようとするのである。あなた自身の行動を考えてみてほしい。週末になると、あなたは一番着慣れている服を着て、好きなスポーツ・チームの試合を見る。ハードディスク・レコーダーに録画されているお気に入りの番組に目を通す。

これはあなたが組織の中でもたびたび直面する状況だ。

人々がイノベーションにもっと取り組むようになるのを―そしてもっとイノベーションにもっと成功するようになるのを―手助けしたいと思うなら、あなたは個々の社員やチームがなじみのないものを嫌がらずに受け入れるように持って行く必要がある。

リーダーであるあなたは、イノベーションはするかしないかを選べるものではないことを自分の組織に理解させる必要がある。

今日では、ほとんどの企業がつながり合っている。他の企業と、サービスやシステムと、さらには顧客と互いにつながっている。この接続性の高まりが、変化のサイクルを加速させ、市場間、政府間、産業間の境界をぼやけさせている。ちょっと考えてみてほしい。1999年にフォーチュン500社に入っていた企業の40%近くが、10年後にはもうそこにはいなかったのだ。

フェイスブックの創業者、マーク・ザッカーバーグは23歳のときには億万長者になっていた(かれは中小企業ですらなかった)。どんな企業でも今日、存在意義と活力を持ち続けるためには、イノベーションは起こさなければならないのだ。」

一部抜粋。

この本では、イノベーションは一握りのクリエイティブな天才にしかできない神秘的な技ではなく、組織的に取り組むべきテクノロジーであると一貫して伝えていて、どんな、小さな企業や個人も取り組めるもであるとしており、私もまったく同感です。

体系的に、イノベーションを学ぶためには秀逸な一冊です。


なぜ、現代でイノベーションが重要かということは、テクノロジーを中心として加速度的に前提条件が大きく変化しているという事実です。

そして、イノベーションは、製品・サービスを超えて発想することが重要です。なぜなら、製品や単なるサービスはすぐに模倣されるという現代のモジュール化・デジタル化という性質あるからです。

従って、わたしのイノベーションの定義は「持続的な価値の提供をするための破壊的創造作業」ということです。

地球のエコシステムをみると、生物は「突然変異と自然淘汰」の連続で現在に至っています。進化の過程には、自然環境(前提条件)の変化があり、その環境に合った突然変異の種が、今まで主力を占めていた種を淘汰していくという「無常」摂理が存在してます。

私は、このことは自然だけではなくビジネスでも全く同じであるとおもっています。

そして、他の動物と違い、人間だけが突然変異をつくり出せる能力を持つ動物であると信じています。