2014年

11月

16日

サプライズな量的緩和の意味

2014年11月16日(日曜日)

米国の量的緩和終息宣言に合わせ、同時に日銀が行ったサプライズな量的緩和により為替と株価が大きく動きましたが、どうして、このようなことを日銀が行ったかを私なりに分析してみました。

私としては、日銀がおこなった80兆円もの量的緩和の意図がどこにあったのかを以下のようにみています。

また、今回の量的緩和はお金を市中に80兆円出したということと、日本国債をその分日銀が引き受けたという点も重要ではないかと思っています。

このことは、政府と日銀は一粒で3つおいしい?ことを狙っているのではないかと推測しています。

まず、第1番目は、アメリカの量的緩和終結宣言に合わせ、日銀がまったく逆のサプライズの量的緩和を行ったことの意味です。

大量の資金供給をドル側がやめて、円側が拡大したことで為替相場が急激に円安ドル高に振れました。

昨日現在で116円20銭台まで円が売られドルが買われました。

そうなると、どうなるかは一目瞭然で輸入価格の上昇ということになり、結果的に物価が上昇します。これは、日銀が政府と共に目標としている2%の物価目標に近づくことになります。

第2に、量的緩和をするとどうなるかというと、現在の日本では株と不動産にお金が流れ、株価上昇と不動産価格の上昇が起こるということになります。そして、それを見越していた海外の機関投資家などのお金も吸い寄せて株価は17,000台を突破し、REITなどの不動産の指数も急上昇しました。

そして、第3番目は、年金積立金管理運用独立行政法人(以下GPIF)の資産運用ポートフォリオとの関係です。

GPIFの資産運用ポートフォリオは、長年の間、外国の年金運用組織と比較してまったく偏った年金資金の運用をしてきました。それは、国内債券に対する異常なほどの偏りです。そのため、日本の国債の受け皿としても機能していたのですが、日本の年金資金運用成績は、低迷を続けこれから増え続ける年金支給に対して必要な運用益が確保できない事態に陥っています。

ついに、政府はこのGPIFの運用成績を上げる政策が必要になり、年金資産の運用のポートフォリオ(運用資産の組み合わせ)を、高利率なものに比率を高めて年金の資金を運用益で拡大させることにしたのです。

現在の、GPIFの運用資産は、なんと130兆円にもなり、1%で1兆3000億円にもなります。

そして、現在の運用ポートフォリオ(平成26年6月末)は、次の左側の数字ですが、それを右側の数字にしていくことを目標としています。

国内債券  :51.91%→35%

国内株式  :16.79%→25%

外国債券  :10.76%→15%

外国株式  :15.54%→25%

短気資産  : 5.00%

つまり、国内債券を日本国債と見れば、22兆円もの日本国債を手放し、他の運用先に振り替えなければなりません。

となると、その22兆円の日本国債の受け入れ先がないと日本国債の危機につながりかねません。

その受け入れも含めて、日銀が引き受けるという図式ではないかと個人的に推測しています。

つまり、円安による物価上昇による2%の目標への施策と、株価上昇と不動産上昇による物価の上昇、そして、GPIFのポートフォリオ修正に対する受け皿としてという3つのことを同時に解決する手段としての量的緩和ではなかったのではないかと推測します。

3つ目の年金資金運用ポートフォリオの比率の是正は、高齢化が進む日本にとって非常に重要な施策であり、やっとまともなものになっていくと思われますが、円安と株高・不動産高(一部地区に限る)による物価上昇が、オーガニック(健全な)物価上昇とはどうしても思えません。

コストプッシュ・インフレは、賃金上昇が伴わない限り消費の減速を招き、縮小均衡経済になっていきます。

人口減と少子高齢化問題に対する抜本的問題解決をしない限り、根本的な解決にはならないと考えています。