花粉症と森林と戦後を考えてみる

2015年3月14日(土曜日)

いよいよ、春本番という陽気になってきましたが、それと同時にスギの花粉が非常に多く飛ぶようになってきました。

国民の4人に1人ぐらいが花粉症ではないかと思いますが、その4人にひとりが私自身です。

今週に入ってから、目と鼻の症状が悪化して、今日のような暖かな日は特に目のかゆみと鼻水が止まりません。

薬や乳酸菌の錠剤などを試しましたがあまり効きめがありませんでした。

もう、20年以上経験しているので慣れっこになっている部分もあります。

今日ここでお話ししたいのは、このスギ花粉が多くの国民を悩ましているというだけではなく、原因であるスギ林が日本の森林とそこに生息する動物、そして治水・保水の低下による土砂災害、おしまいには漁業にも大きな悪影響を及ぼす大きな問題であるということです。

日本はご存知のように、亜熱帯から亜寒帯に位置し雨も雪も多いことから豊かな森林をもつ世界でも数少ない自然に恵まれた環境を持っている国なのです。国土の3分の2が森林となっており、木材資源が豊富な世界有数の森林大国なのです。それにもかかわらず世界有数の木材輸入国でもあります。

まず、ここに花粉症大量発生のヒントがあります。

戦後、昭和20年~30年のころ、日本では戦後復興のため、木材需要が急増しました。このため、政府は造林を急速に行うため「拡大造林政策」を行い豊かな広葉樹からなる天然林を伐採し、代わりに成長が比較的早く、経済的に価値の高い針葉樹の人工林に置き換えてしまいました。

しかし、畑とは違い、今日植えて秋には収穫とはいきません。その政策の実がなったのはここ最近のことで成木となっています。

約40年~60年かかったといえます。そして、スギの花粉もその「造林政策」の果実?として大量発生しているの状況です。

また、戦後はじめの内は、里山と呼ばれる雑木林は、燃料となる薪や炭を作る自然木が多くそのような雑木林からいろいろな恩恵を受けてきましたし、野生動物との緩衝地域としても機能していました。

ところが、この時期に家庭燃料は石油やガスという化石燃料に大きくシフトしてしまい、雑木林も金になるスギ林になっていきます。

しかし、昭和30年代ではまだ造林したスギは木材としては使えないため、国は木材の輸入に対して自由化を進めます。そして、輸入材はどんどん輸入されて昭和30年に94.5%だった自給率が急激に落ちていきます。

その輸入材に拍車をかけたのが、昭和50年代の1ドル360円の固定相場制から変動相場制へのシフトです。これで円高に進み輸入材の価格が国産材の価格を下回るようになって、自給率は30%台まで落ち込みます。

これらの影響で日本の林業経営は苦しくなっていきます。

そして、間伐や手入れもされないスギ林は放置されるところが増加しました。

しかし、林野庁はこのような状況の変化にもかかわらず、拡大造林計画を見直すこともなく今日までスギやヒノキを延々と植林しています。

最近は、花粉をあまり出さないスギを植えているということですが、そもそも、今、そして将来の日本にこれ以上のスギやヒノキが必要な出のでしょうか?

人口減・少子高齢化に空き家の増加という現実を踏まえて頂きたいと思います。むしろ、現在ある成木となっても使われないスギやヒノキの林を手入れして活用することが重要ではないかと思います。

郊外を車で走っていても、里山がスギだらけでしかも密集して植えられて間伐していないため中は真っ暗で怖い感じがする光景がいたるところに広がってしまっています。春になるとその葉の先が茶色く染まり、見ただけでくしゃみが出そうになります。

また、森林の機能としては、表面浸食防止、水質浄化、水源貯留、表層崩壊防止、洪水緩和、二酸化炭素吸収、化石燃料代替などがありますが、スギやヒノキはこの森林の機能が著しく低いのです。

大きな台風が来るたびにダムなどに流れてくる木を見てみると、まっすぐで根の短いスギが大量にあるのが分かります。

むしろ、治水や保水そして災害対策、それから花粉症対策としては必要な分以外は伐採して落葉広葉樹などをどんどん植林していくべきだと思いますなぜかというと、治水・保水や災害対策だけではなく、スギの林は、生物多様性の問題でもあり、豊かな漁場をはぐくまないという問題でもあるからです。

気仙沼でカキの養殖をしている畠山重篤さんという人が「森は海の恋人」というコンセプトの活動を20年以上にわたり続けていらっしゃいます。

もうご存知の方も多いと思いますが、彼は、漁場を豊かにするのは川から流れてくる山の栄養であり、山を豊かにすることが海を豊かにするということに行きつき、落葉広葉樹の植林を続けています。

畠山さんによれば、森は戦後の植林計画でスギばかり植えられ、陽が差さず、下草も生えてこない状態。落葉広葉樹の腐葉土が鉄分(フルボ酸鉄)を生み、それを含んだ川の水が海に注いで、汽水域の植物プランクトンを育てる。間伐もされず放置されたままのスギ林では、あまりに養分に乏しく、さらに川には生活排水や農地からの除草剤、化学肥料が流れ込んでいた。

ということです。

その豊かな植物プランクトンを動物プランクトンが捕食し、それを魚介類が捕食する、最後に人間が大型の魚を捕食するという図式からすれば、元をたどれば人間は豊かな森の栄養をいただいていることになります。

以上の状況からして、いまだにスギを植林し続ける林野庁の政策が疑問でなりません。

花粉の少ないスギを植えることでがいま必要なことなのか、いまある人口の針葉樹林を豊かな森にしていくことが求められてのか答えは出ていると思います。

花粉症患者が、もし、2000万人を超しているとすれば、その医療費や経済的損失は莫大になっているはずです。これだけでも、スギの必要以外の伐採と植林中止を国が決定して予算化してもお釣りがくるのではないかと思います。