空き家問題と戦後ライフスタイル

2015年8月2日(日曜日)

厳しい暑さが続いております。

熱中症にはくれぐれもお気を付け下さい。

さて、空き家問題が広く全国的な問題となってから2年ほど経ちますが、その状況は更に深刻になっているようです。

人口が減少しているにもかかわらず、住宅数は増加しているということからしても、空き家がこれからも増加していくことは間違いなさそうです。

総務省が、平成26年7月に発表した統計によれば、総住宅数は5年前に比べて6063万戸で5.3%上昇、空き家率は13.5%と過去最高となっています。

空き家率の高い都道府県は、山梨県や四国4県、鹿児島、和歌山、山口、岡山、広島となっています。

空き家率の下がっている都道府県は1カ所もありません。

それでは、空き家は何が問題かというと、

・放火による火災

・台風・地震などでの倒壊

・不審者の侵入

・景観の悪化

・治安の悪化

などがあり、直接生命にかかわることから、社会的なものまでかなり深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。

このような問題に対して、国は、平成26年に「空き家対策特別措置法」を成立させ、空き家の所有者に対して適正な管理を義務付けることにしました。また、各地方公共団体でも条例を制定しています。


■高度成長と空き家の関係

この空き家の増加は、日本の高度成長と無縁ではありません。

戦後、ベビーブームが起き、そのベビーブーマー(団塊の世代)が成人し結婚する段階になり、都心では住宅が不足したため、私鉄による郊外の開発が盛んに行なわれました。複線・複々線と線路を増やし、快速・急行・特急など郊外へ一戸建て住宅を建てる層が急増しました。そこには、高度成長期の鉄道の発達が大きく影響しました。

マイホーム・マイカーは、団塊の世代の必需品として5%以上の金利にもかかわらず借金をして、彼らの夢を実現していったのです。

地方は地方で、マイカーの普及によりやはり郊外に一戸建てをもつという神話のようなものが生まれました。

それは、団塊の世代が、戦前の日本の価値観である大家族制度から、戦後の西洋のライフスタイルを取り入れた核家族へと生活基盤を変えたことによって一気に郊外の丘陵を住宅地に変えていったのでした。

とくに神奈川県に伸びる私鉄沿線の郊外は、ハイソなイメージを持って驚くほどの価格で住宅が売れていきました。そのオシャレなライフスタイルをテレビドラマで放送された番組は、一大ブームを引き起こしました。

しかし、それらの人達も成熟年齢となり、その子供たちはまた違う価値観へと突入していきます。

それは、一戸建て至上主義からの脱却と、夫婦共働き、一生未婚、通勤時間の短時間などあらたなライフスタイルによる都心回帰です。

彼ら彼女らは、通勤に1時間以上もかかるなどは論外です。共働きが多いですから少々高くても通勤時間が短い都心の賃貸を選びます。

そして、団塊の世代自体も、今、郊外から都心への回帰を始めています。

その方が、便利で安心で快適なセカンドライフを満喫できると思っているからです。

このような、戦後高度成長期に郊外に建てられた家がどんどん空き家になろうとしています。

そして、そこからはスーパーや医療施設の撤退、学校の統廃合など悪循環を引き起こす事態が発生していて、空き家の購入者もいなくなるということになります。

地方はといえば、3大都市圏への若者の人口移動が顕著になり空き家どころか、村や町が存続できなくなる状況が見えてきています。

このような理由で、ほんの一部の都心を除いては空き家がどんどん増えていくことになります。

但し、日本が少子高齢化して、更に新しい価値観を持った人間が増えることで一部の地域に人が移住するような動も見えてきています。

それは、鎌倉や京都そして金沢などの古都に住みたいという人が増加してくるのではないかということです。

高齢者の富裕層と、それと価値観を共にするビジネスや文化をもった若者層の街づくりというようなものが出来上がる可能性があります。

そこには、新しいライフスタイルと価値観を持った街づくりというビジネスが生まれてくるでしょう。