2015年

11月

01日

ネット時代のブランド崩壊

2015年11月1日(日曜日)

いよいよ、今年も11月に入りあと2か月となりました。

今年のビジネス環境で起きた事柄として企業ブランドの毀損というものがあると私は思っています。

東芝やシャープの不正会計、フォルクスワーゲンの規制違反隠匿、三井不動産のパークシティで起きた旭化成のくい打ちのデータ改ざん、さらには東京オリンピックのロゴなどの著作権侵害など大企業や国を挙げてのイベントというところで不正に手を染めてしまった事例が次々と報道されてきました。

しかも、組織ぐるみで行っているというところにその特徴があります。

なぜこのようなことが起こってしまうのかというと、私は2つの大きなポイントがあると思います。

まずひとつめは、競争や時間などの外的環境の中にさらされて追い詰められてやってしまっているというポイントです。

東芝やシャープは、社内の経営陣の競争環境が存在していました。

電気関係の会社というのは、ほとんどが事業部制で成り立っており、どの事業部の出身者がトップになるかで会社の経営自体が左右されるという傾向があります。

電気製品メーカーというのは、戦後高度成長に乗り白物家電からオーディオ・半導体IT関係・インフラ事業などあらゆる分野の製品を事業部制という形で組織化して経営をしてきました。しかし電気製品がデジタル化し、中国・台湾・韓国を中心とする製造専門を生業とする企業が台頭して、電気製品製造企業というものは非常に厳しい世界的競争環境にさらされてしまいました。

そのような社外環境の中で、社内的に経営陣が一丸となって戦略的経営を進めなければならないときに、実は、社内では経営陣が事業部を中心とする派閥ができていて反目し合っていしまうというお家騒動まで抱えている状況があります。

そして、トップは自分の方針が間違っていないという証を、株主だけではなく反対勢力に対して会計上の結果で示さなければならないというプレシャーを抱えてしまうことになります。

しかし、実態はまったくよくないというときに追い詰められて部下に対して「うまくやりなさい」という天の声を発してしまうという構図です。

VWは、現在トヨタと世界中で覇権を争っており、中国ではVWが圧倒的なシェアを獲得しておりますが、アメリカではトヨタがシェアを獲得しております。

そのシェアに大きく影響を及ぼしているのがクリーンエンジンであり、VWはクリーンディーゼル、トヨタはハイブリッドという競争環境になっています。

この競争環境で絶対にクリーンディーゼルをアメリカの厳しい基準をクリアしなければならないという強いプレッシャーが今回のデータ改ざんに繋がっていしまいました。

三井のパークシティで起きた旭化成のデータ改ざんは、建設業は工期という時間のプレッシャーにさらされていて、杭がそもそも岩盤に届かない長さであったり、データを取る機械の問題もあったということですが、工期を最優先させなければならないというプレッシャーが改ざんに繋がったのではないかと思います。

東京オリンピックについては競技場の設計問題もありましたが、ポスターのデザインやエンブレムのデザインの著作権問題で白紙撤回の連続となっています。デザイン選定の組織図を見ても仲間内でやっているような構図になっている感があります。これについては、良いデザインの創作を続けなければならないというプレッシャーがついパクリを誘発してしまっているという感じです。

そして、新しいデザインが発表されるたびにネット上で似たようなデザインがないか、頼みもしていない一般人が指摘することがブームのようになっています。

これらの不祥事は、すべて競争環境や時間や創作のプレッシャーにさらされて、長い間コツコツと積み上げてきたブランドというピラミッドを、短絡的な目先の利益に目がくらんで破壊してしまったという経営者としては絶対的にやっていはいけない行為です。

ブランドというものは企業のビジョンの結集であり、代々の経営者が育んできた宝です。

上記に挙げたブランドは何兆円にも相当する価値を持っているにもかかわらず、一瞬にしてそのブランドの価値が毀損してしまうということを経営者は理解しておく必要があります。

そして、ふたつめのポイントは、インターネットの時代において、ブランドの浸透も崩壊も短期間で起きるようになっているということです。

報道などは、かなりドメスティックな性格を持っていますが、インターネットは一瞬にして世界中に広がるというメディアです。

このインターネットの特徴をしっかり理解する必要があると思います。