2016年

3月

13日

人手不足と経済

2016年3月13日(日曜日)

ここにきて、日本経済は人手不足というしばらくなかった状態に陥っています。

人手不足というと通常は景気がすごく良くなって、人手が足りないというのが高度成長期のパターンでしたが、現在の人手不足はその時のものとは少し様相が違います。

完全失業率が改善し、有効求人倍率は上昇という事実は確かにそうなのですが、需要サイドの上昇というファクターでそうなっているのかというとそうとばかり言えません。

では、なぜ現在の人手不足が発生しているかということを考えてみたいと思います。

結論から言いますと次にあげる4つのポイントにより人手不足は発生していると考えられます。

1.GDPは横ばい傾向

2.労働力という供給サイドの減少傾向

3.労働の需要と供給のミスマッチ

4.サービス業の労働生産性の低迷

では、順に説明をしていきます。

1.GDPは横ばい傾向

リーマンショックから経済は緩やかに回復し、2013年から消費税アップまではGDPは成長してきました。しかし、消費税アップから景気は腰折れしてしまいました。

そして、日銀の黒田バズーカの連発により金融政策によりお金を市中に大量に供給することで、円安と株高を演出しましたが、今度は中国経済の鈍化などがあり、プラスマイナスとんとんというのが現状ではないかと思います。ここで、言いたいことはGDPは維持されているということです。

 

2.労働力という供給サイドの減少傾向そのGDP横ばいに対して、労働供給側の供給量は、急激に落ちています。これは、生産年齢人口(15歳~64歳)の人口が、団塊世代の退出により大幅に減少しており、加えて少子化により生産年齢人口の追加分の減少があります。この傾向は、これからますます加速していきます。

そこで、高齢者や女性の活躍ということで一億総活躍というようなことになっているわけですが、高齢者の場合は70歳まで活躍するというようなことが可能であっても、団塊の世代がもうその年齢に近づいており、長期的にみればある程度のところでまたガクンと労働力が減少します。

また、女性の活躍というところで見ると、女性の就業の特徴として出産と育児の時期の25歳から44歳の層の就業率が低いいわゆるM字カーブと呼ばれる就業率の低さがあります。それを、改善して活躍してもらう必要があるということでその政策も徐々に進んではいますが、先日のニュースの様にまだまだ保育施設と人材が不足している状況です。ただし、この状況がすべて改善されたとしても、25歳から44歳の女性の年齢人口は着実に減少しており長期的には労働力不足を根本的に解決できる状態ではありません。

日本の労働力人口は、生産年齢人口の減少を受けて1998年の6793万人をピークに減少傾向が続いており、2014年には6587万人と200万人以上減少しています。つまり、需要側の問題よりも供給側の問題が大きいといえます。そして、この労働力の減少は供給側の余裕がなくなるということで、景気の影響をもろに受けて、好景気になれば極端な人手不足が起こりやすいという体質になります。

 

3.労働力の需要と供給のミスマッチ

このミスマッチは、非常に問題であり解決しなければいけない最も優先順位の高いものです。

このミスマッチは、どのようなミスマッチなのかのポイントは次に掲げる3点です。

①正規社員と非正規社員のミスマッチ

②年齢のミスマッチ

③職種のミスマッチ

これを、一つひとつ確認していきましょう。

①正規社員と非正規社員のミスマッチ

リーマンショック後、日本経済は回復して有効求人倍率は2010年以降上昇が続き、2014年度では1.11倍と1倍を超えました。ただし、パートタイムは1.41倍と3年連続で求人が求職を上回り人手不足が定着しているのに対し、常用雇用(パートタイム以外)では、0.98倍となり、さらに正社員については、0.69倍と依然として求人が求職を大きく下回っているという状態が続いています。つまり、需要側は、正社員ではなく非正規社員を求めているが、供給側は、非正規社員ではなく正規社員として働きたいというミスマッチが起こっています。

この問題は、非常に扱いが難しい問題です。

政治が、雇用を安定させるために社員を簡単に解雇できなようにしてきた日本の労働環境において、需要側である経営側は、簡単に解雇できないのであれば正社員を採用することに対して、どうしても躊躇せざるを得ないという状況に陥っています。しかし、仕事が順調な時は人が必要になるので、非正規社員のニーズが自ずと高まるのはある意味当然のことです。この経済環境の中で、いつ、経営状況が悪化するかがわからないという状況ですから、いきおいそのような方向性に向かいます。

この解決策は、同一労働同一賃金の政策と、解雇についての柔軟性を上げることで需要側の負担を軽減することも必要であると思われます。

しかし、この政策は、国民の意識としては、なかなか改革するのが難しいという側面があります。

②年齢のミスマッチ

1億層活躍という名目で、高齢者にも働いてもらいたいという方向性が打ち出されていますが、45歳以上になると「求人の年齢と自分の年齢が合わない」という理由が失業者の中で最も多くなっています。

需要側からすると、高年齢者でもできる仕事については、人手は足りているが若い人でなければできないような仕事については人手が足りないという事態が発生しているといえます。

③職種のミスマッチ人手不足が深刻になっているという事態の中、求人よりも求職のほうが上回っているという職種も多く存在しています。

それでは、有効求人倍率が2倍以上の人手不足の職業と、1倍未満の人手が足りている職業を見てみましょう。(厚生労働省「一般職業紹介状況調査」)

Ⅰ.有効求人倍率が2倍以上の人手不足の職業

・建設躯体工事      6.93倍

・医師・薬剤師など    6.54倍

・保安          4.73倍

・医療技術者       2.78倍

・接客・給仕       2.69倍

・保健師・看護師など   2.60倍

・生活衛生サービス    2.59倍

・介護サービス      2.30倍

・飲食物調理       2.04倍

Ⅱ.有効求人倍率が1倍未満の人手が足りている職業

・一般事務        0.25倍

・製造技術者       0.41倍

・機械組み立て      0.44倍

・会計事務        0.51倍

・清掃・包装等      0.57倍

・営業・販売関連事務   0.59倍

という状況です。

これを見ますと、職種のミスマッチが非常に大きく、人手不足の最も解決すべき問題となっていることが分かります。

この解決策は、職業訓練という政策と待遇改善の2点が重要になってくると思われます。

 

4.サービス業の労働生産性の低迷

日本のGDPの70%以上はサービス業であり、雇用も70%以上を占めております。つまり、ここの労働生産性を上げることによって、労働力不足を解決する大きな手段になりえます。

日本のサービス業の特徴は、そこに参加する企業が、中小と零細企業が多く、IT技術の導入による管理や、マニュアル化が遅れており労働集約型になっています。したがって、ICTを駆使しマニュアル化を図ることによって生産性が向上し、労働力に余裕を持つことができますし、待遇も改善できるという側面もあります。

しかし、日本の昔からの特徴として、おもてなしなどのサービスに対しての価値観は低く、世界でもまれにみるサービスの良さに対してその対価を払おうという意識の低さというものが根底にあり、なかなか難しいところです。

 

まとめると、日本の労働人口の減少という供給サイドの縮小により景気変動により一気に人手不足となる状態となっています。これについては、一億層活躍ということも必要かもしれませんが、人口減という状態から根本的な解決にはなりえないことから、外国人の積極的な受け入れ態勢を早急に整える必要があると思います。それから、労働市場の流動性を促す政策と同一労働同一賃金、ミスマッチ解消のための職業訓練と雇用促進政策で、失業者を減らすことを実現する大きな2つの政策が重要になると思います。

 

 

 

 

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コメント: 1
  • #1

    imahi (金曜日, 25 11月 2016 13:41)

    人手不足はダメだから外国人の積極的な受け入れが必要だという結論になっていますが、外国人労働者を受け入れる位なら人手不足で良いと思いますよ。
    人手不足になってようやく少しづつ雇用が改善してきているのに、外国人労働者なんて受け入れたらまた以前の様に仕事不足になってしまいます。