2016年

5月

27日

イチローという事業

2016年5月27日(金曜日)

今週、米国メジャーリーグのイチロー選手が2日連続でマルチヒットを放ち、今年達成を期待される2つの記録に近づいています。

私は、個人的にイチローという選手が好きで、というより、憧れと尊敬の念をもって彼の言動に注目しています。

私見をもって言わせていただければ、イチローという事業は、鈴木一郎という個人が、自らの肉体と頭脳という資産を活用して人を魅了するようなプレーを見せるビジネスであると思っています。

また、精神面では日本古来のサムライを強く感じてもいます。彼は、群れることを好みませんし、安易に周りに迎合するような発言もしません。

いい加減なインタビューでの対応をしませんし、インタビューアーにもそれを求めます。

今日は、「夢をつかむイチロー262のメッセージ」という著書から彼の言葉を引用しながら彼のイチローという事業の魅力について語りたいと思います。

イチローは、既に数々の偉業を達成していますが、今年特に期待されている記録は、次の2つです。

1.メジャー通算3000本安打 5月28日段階であと40安打

2.ピートローズの日米通算安打 4256安打 あと18本

この記録は、数字だけを見れば確実に行けると思われがちですが、このような記録というのは、スタートの1とゴール前での1では、それは、我々には想像できないぐらいの違いではないかと思います。エベレスト登頂の最初の一歩と最後の一歩以上だと思います。なにしろ前人未到の領域ですし、全世界からトッププレーヤーが集結するアメリカのプロ野球の最高峰であるメジャーリーグで達成するのですから。

イチロー選手も目標としてこの記録を考えていると思います。

しかし、彼の究極の目標はほかにあるようです。

彼の言葉に「漠然となんですけど、僕が考えている目標というのは、50歳まで現役バリバリでプレイするということなのです。それは、野球が楽しくてしょうがないから。数字というものは二の次です」というのがあります。

そして、それを達成するための努力と準備に対するストイックさと、サムライと同様に道具を徹底的に手入れをする姿勢は本当に感心するしかありませんし、私の仕事に対する姿勢の鏡でもあります。

その重要性を語った言葉があります。

「夢をつかむというのは、一気にはできません。小さなことを積み重ねることで、いつの日か、信じられないような力を出せるようになっていきます」

「ちいさなことをかさねることが、とんでもないところに行くただ一つの道」

「ハイレベルのスピードでプレイするために、僕は絶えず体と心の準備はしています。自分にとって一番大切なことは、試合前に完璧な準備をすることです」

「ぼくらは高い給料をもらっているわけだから、体調管理は当たり前のことです」

「死球の影響はありません。そういう筋肉を普段から作っています。そういい状況は何回も経験していますし、ほかの選手とは意識が違います」

「1試合1試合ベストを尽くしましたし、準備を怠ったことはなかったと思います」

「準備に集中することができました。それがすべてだと思います」

「やれることはすべてやったし、手を抜いたことは一度もありません。つねにやれることをやろうとした自分がいたこと、それに対して準備ができた自分がいたことを、誇りに思っています」

また、仕事にたいする姿勢も本当のプロです。

「びっくりすようなプレイが勝ちに結びつくことは少ないです。確実なことをこなさいないといけないプレイを確実にこなせるチームが強いと思います」

「力を出し切ることは難しいですよ。苦しくて、苦しくて、倒れそうになります。でも、それをやめてしまったら終わりです。プロの資格はなくなりますね」

「ピッチャーの決め球を打つか、甘い球を打つのかで、バッテリーに与える影響は全然違ってきます」

「相手が強い気持ちを込めて自信を持って投げ込んでくる球というものは、バッターが受け身でいたら、打てる球も前に飛びません」

「グラウンドの上では、自分の築き上げてきた技術に対する自信、今までやってきたことに対する自信、『やりたい』と思う強い気持ちが支えになります」

このような気持ちでイチローはグラウンドでプレイしているんですね。

メジャーリーグというのは、打つ、走る、守るという3つの技術を3つともハイレベルで記録を作れる選手というのは本当に少なくなって、それぞれ専門化しているなかで、イチローという選手は自分の中で研究と練習と準備を徹底して前人未到のレベルに達しようとしています。

それは、非常にプレシャーのかかるものですが、そのプレッシャーについてイチローはそれをモチベーションに変えています。

「ぼくは常に自分にプレッシャーをかけてきましたし、どんな状況でも動揺することはありません」

「注目されないと、僕は終わってしまうので、注目されて苦しいと思うことはありません」

「達成できないのではないか?という逆風は最高です。『かんばれ、がんばれ』という人がいるより、ぼくは『できないでくれ』という人がいるほうが熱くなる」

「できなくてもしょうがないは、終わってから思うことであって、途中でそれを思ったら、絶対に達成できません」

「プレッシャーにつぶされるようだったら、その選手はそこまでだといういい方もあります」

「できるかどうかなんてどうでもいい。やりたいかやりたくないかだ」

「いろいろな怖さを知って、その怖さを乗り越えて、自分の技術を確立して残した数字は、重みが違います」

「苦しいことの先に、新しい何かが見つかると信じています」

「プレッシャーのかかる感じはたまりません。ぼくにとっては最高ですよね。ものすごく苦しいけど」

「やっている最中にプレッシャーから解き放たれることは不可能です。そこから抜け出す方法はない。苦しみを背負ってプレイするしかありません」

このようにして、イチローはプレッシャーに対応し続けて、これまでの偉業を達成して、新たな達成に向けて進んでいるわけです。

しかし、彼はこれらの偉業を達成したことに対して満足しないように自らを持っていく努力をしています。

「何かを達成した後は気持ちが抜けてしまうことが多いので、打った塁上では『次の打席が大事だ』と思っていました」

「いかに、いい成績の記憶を振り払うかということは大事でしょうね。そういうものを背負うと、自分を苦しめることはわかっていますから」

「ヒットを続けて打ったとしても、過去のものだと振り返れば、次の打席に集中していけますから」

「自分たちを客観的に見てやるべきことをやります。それは、どんなときにも変わらないものなのです」

「今日はムダがなかったというだけです。早く明日になってほしいと思います。こういういい結果のときに余韻に浸ったりするとロクなことはありません」

「現役中に、過去のことを懐かしんではいけません」

42歳の今も「野球がうまくなりたい」というイチローのモチベーションは「野球が好きで好きでたまならない。しかも、現役でプレイすることが好きだ」ということですが、自分の生きたい道を見つけ、苦しみも含めて進んでいる過程を追及している点は、ほかのビジネスにも通じるものがあります。

50歳のイチローが現役メジャーリーガーとして存在している。そんな偉業を見たいと思いますが、イチローに対しては「そんなことできるわけがないよ」という言葉を贈り今日のブログを締めくくりたいと思います。