2017年

1月

09日

2017年日本経済展望

2017年1月9(月曜日)

新年あけましておめでとうございます。

2017年は、まずまずの気象情報のなかで始まりました。

2017年が、皆様にとって良い年であることを心よりお祈り申し上げます。

毎年、年初に行っている日本経済の展望ですが、これまでの年は主に人口構成や金融情勢がその年の日本経済に与える影響を大きく取り上げてきました。

しかし、2017年は、政治的な要因とIoTやAIそしてFinTecなどのテクノロジーの要因が日本経済に与える影響が強くなると予想しております。

ただ、前々から私がお伝えしている日本のデモグラフィック(人口統計上)の問題、つまり、人口減少と少子高齢化という構造的問題は依然として加速度的に継続していて日本経済の成長を抑制し、社会保障コストの増大につながっていくことは変わりありません。

その基本的なネガティブな状況の中で、政府・日銀・行政が政策を実行しているわけですが、なかなか目標の2%物価上昇に行きませんし、その結果、消費税の増税も先延ばしの連続で社会保障の不安が増大してきています。

そんな中で、日経平均株価は好調に推移していますが、よくよくその原因を探ると、日本の年金ファンドと日銀のETF買いという巨大な官製の買い手が支えているという図式です。本来、株価というのはその企業が将来得られる収益を現在価値に計算しなおしたものであり、2016年の上場企業の収益状況が減益であるという事実から見ますと、何らかのバイアスがかかっていると判断するのが妥当であると思います。

昨年末に、アメリカの大統領選でトランプ氏がクリントン氏を破って大統領に決定したことを受けて、アメリカではその公約から保護主義政策を予想し、インフレ期待へとつながり株価が上昇し、ドル高円安に振れて、日本の株が上昇するというわかりやすい構造になっています。

関税を上げれば、物価が上昇し、インフレになっていくという図式です。

今年は、このようなアメリカの大統領がオバマ氏からトランプ氏に変わったという政治的なことが日本の政治経済に与える影響というものが非常に大きくなると思います。

外交、エネルギー政策、貿易などについても、これまで進んできたグローバル化とは違った考えを持って舵を切ろうとしています。

また、ヨーロッパにおいてもイギリスのEU離脱問題、そして難民問題に伴う反移民の風潮の高まりによる各国政治の右傾化の流れが起きており、EUの主要国がEU離脱の方向性に動く可能性が高まっています。

年内だけでも、オランダ議会選挙、フランス大統領選挙・国民議会選挙、ドイツ連邦議会選挙などがあり、これらの選挙で極右政党が勝利することになればEUの存続に大きな打撃になりますし、ドイツの議会選挙でもメルケル首相率いるキリスト教民主同盟が極右政党に敗れるようなことがあれば、EUを強く支えてきた屋台骨が揺らぐことになります。

このような、アメリカ・EUの政治的な動きが日本経済に大きく影響する年になると思われます。

これらの右傾化の要因は、1990年以降急激に発展してきたグローバル化によりヒト・モノ・カネが国境をまたいで移動する時代になったことで、いいものも悪いものも含めてダイナミックに動くことにより、それに合わせて変化できたものがより強い力をつけて、対応できなかったものが弱者となり淘汰されていくということになりましたが、トータル的には世界は成長を続けてきたわけです。

しかし、ここにきて経済成長が鈍化してきて、失業率が増加し難民問題などが出てきたことが背景となり、右傾化の政党がポピュリズム的な美味しい保護主義を掲げることがトリガーとなり右傾化するという現象になっていると分析しています。

かつてのヒトラーも、このポピュリズムで民衆に選ばれたリーダーであったことは記憶しておく必要があると思います。

冷静に考えれば、グローバル化がもたらしたメリットと保護主義やEU離脱によるマイナスのどちらが大きくなるかはわかるはずですし、ポピュリストの言った政策が実現可能かは、ギリシャのチプラス首相の現状を見れば一目瞭然です。

このような、経済停滞の中でのポピュリストの実現不可能な甘い魅力的な政策と、それを感情的に支持する選挙民の姿は、ハーメルンの笛になる可能性を秘めています。

ある人は言っています。

「民衆は、消費者としてふるまう場合はグローバリストとしてふるまい、投票者としてふるまう場合はナショナリストになる」と。

政治的なイベントと言えば、昨年、安倍首相がロシアのプーチン大統領と進めてきた日ロ平和条約と経済協力の進展ですが、ウラジオストックの会談までは順調な発言でしたが、ペルーの会談当たりから雲行きが怪しくなり、日本でのトップ会談では、めぼしい具体的な進展はありませんでした。

この背景には、日米安保条約と北方四島の返還問題という政治的・防衛的なアメリカとの関係が影響していると判断されます。

従って、経済協力という民間レベルの経済的進展も早期には望めないような情勢になっています。

個人的には、政治的・防衛的な問題とは別に経済協力を推し進めていってほしいと思います。

 

次にテクノロジーが日本経済に与える影響です。

IT・IoTそしてAI(人工知能)ロボット技術の進化や、クラウド・ビッグデータなどのインフラの進化により、これまでの産業や政府・行政・銀行などの構造的な激変の過渡期になる年が2017年であると分析します。

分かりやすい例でいえば、自動車産業です。

自動車産業は、これまで内燃機関を持った機械を、人間がそれを操作ることによって駆動する機械でした。

しかし、IoTとAI技術により自動運転への移行に進んでいます。

その場合、主導権を握るのは現在巨大といわれる自動車メーカーなのか、アップルやグーグルやアマゾンなどのIT企業なのか、さらに、すでにライドシェアのプラットフォームを持つウーバーなどの企業になるのかが全く混沌としている状況で、優秀な企業や人の買収や提携合戦を繰り広げています。

これは、テクノロジーが産業の構図をガラッと変えていく例ですが、そのほかの産業も例外ではありません。

また、AI技術の進化はとどまることを知らず、単純作業だけではなくクリエイティブな仕事やゲームなどでも大変な進化を遂げています。

碁や将棋そしてチェスなどでは、世界チャンピオンを倒すまでに人工知能は発達しています。また、作曲などもすでに人工知能で行われていて、ヒットチャートにもランクインするほどになっています。

現在、金融機関で話題にっているF㏌TecなどでもAi技術とビッグデータを駆使して、人間よりも高いレベルのファイナンシャルアドバイスをすることができるようになっています。

政府や日銀とは違った世界共通通貨による,世界中に瞬時に低コストで送金ができるビットコイン市場も形成されています。

これらことを考えると、これまで必要とされていた産業や金融機関そして専門家が要らなくなり、ロボットが人の代わりを務めることができる社会が目の前にきていることが分かります。

そうなった場合、いままでできなかったことや、できていても大変だったことなどがロボットにやってもらえるメリットと、いままで必要にされていた機関、企業、物、人、媒体が突然必要が無くなるというデメリット、特に、仕事がなくなるというデメリットが出てきます。

自動運転になれば、自動車保険は不要になる可能性がありますし、投資アドバイスロボットができればファイナンシャルアドバイザーという仕事もなくなるかもしれません。

AIが人間の能力を超えた地点以降にも、AIつまり人工知能は、自分でディープランニングを24時間365日するようプログラムされていれば、どのような最終結果が出てくるかがわからなくなり暴走することも考えられます。人間はそれを上手く使いこなせるのか、一部の人に有利なように使われるのかは不透明でありますが、後者になる可能性が高いと分析しています。

そうならないように、これらのテクノロジーの変化について常にリサーチを怠らないようにしなければなりません。

2017年は、政治とテクノロジーが、これまで以上に日本経済に影響を与える年になることは間違いないと思っています。