黒田総裁6度目の物価目標達成延期

2017年7月30日(日曜日)

日銀の黒田総裁が、先月の金融政策決定会合で、物価上昇率2%目標達成の6度目の延期を発表しました。

2013年4月に、異次元緩和で2年程度を念頭にできるだけ早期に2%の物価安定目標を達成するために、ヘリコプターマネーとも呼ばれるお金を市場に供給しました。その際には、日本国債の買い入れを大規模に行い、市場にお金をバラマキ、インフレ期待を起こさせるという戦略だった訳です。

本来、政府と日銀化期待したのは、そのインフレ期待から民間投資が活性化され、低金利と円安を武器に、企業は輸出期待の設備投資を積極的に行い、一般家計では住宅投資などの活性化で景気を浮遊させて2%の物価上昇を実現されるというシナリオでした。

しかし、実際にふたを開けてみると、ヘリコプターマネーでばらまかれたお金の行き先は、企業の設備投資でも家計の住宅投資でもなく、都市部の不動産、株式市場、そして相続税対策で集合住宅を建てるなどのストックへの部分バブル的なお金の流れに終わっています。

マネーサプライ拡大による円安により、一部の輸出企業は競争力を強めましたが、個人消費は低迷したままで、物価の2%上昇到達に至っていません。

個人消費は、将来への不安と、ものへ所有意識の変革などで、受け取った給与に対する消費性向が上がらないというジレンマになっています。

これは、私が前からお伝えしている日本の人口の量的ならびに質的な問題を解決しなければ、これまでおよび現在おこなっている金融政策だけでは解決できないという証明でもあります。

6度目の目標達成延期ということですが、普通の企業の責任者であればすでに責任を問われ変わっているところです。

黒田総裁の任期はたしか2018年の4月ということですが、金融政策決定会合で黒田総裁が延期したのは、「2019年ごろ」という発言のようです。自分の任期の先に達成時期を発表するというのは、通常の企業の責任者だったら株主からNGを出されてしまうところです。

もしかしたら、黒田総裁は目標達成を6度も先送りしながら、再任されるという前提で2019年ごろという発言をされたとしているのでしょうか。

これだけの異次元の緩和をしているのにもかかわらず、一向に目標に達しないということは、そもそもの戦略が間違っていたという判断になるはずです。

そして、この異次元の緩和を進めていく中で、日銀のバランスシートは膨らみ続け、日本国債の保有率は4割に達し、日本株の上場投資信託買い入れは年々増加をし続け、GPIF,3共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行に並ぶまたは追い抜く株主となっています。

この結果、日本株式の20,000円前後の安定につながっているのですが、これは、プライス・キーピング・オペレーションともなる可能性があることと、この株価安定は、上場企業のガバナンスのたるみを招く危険性があります。

業績が順調で株価が安定しているのではなく、クジラといわれる日銀やGPIFの買い入れが売りをカバーしているという状況を招くからです。

さらに、この政策を続ければ続けるほど、今度は、出口がどんど難しいいものになるという副作用もあります。

2020年のオリンピックでいまのところ上昇気分が続いていますが、そのあとがちょっと心配に感じた日曜日です。