全国基準地価格の変動傾向

2017年9月24日(日)

先日、各都道府県が調査した、全国基準地価格が発表になりました。

基準地価格には、基本的に3種類の分類とその合計の4つからなり、前年同期と比較した基準地価格とその変動率がを見ることができます。

3つの分類は以下の3種類です。

1.住宅地

2.商業地

3.工業地

以上の3つについて上昇率と下落率という観点から、社会的・経済的な面からいろいろなことが見えてきます。

まず、住宅地ですが、最も上昇率が高かった(価格の高さではありません)のは、北海道虻田郡倶知安町字樺山65番132外という住所です。

前年同期からの上昇率は、28.6%となっています。

一見すると、なぜこんなところがとおもわれますが、この地域はだいぶ前から値段が上がっています。この地域は、ニセコアンヌプリというスキー場のふもとであり、このスキー場のすばらしさを感じたオーストラリア人をはじめとしたアジアからの観光客が多く訪れるインバウンド景気による上昇です。西にアンヌプリ、東に羊蹄山を望み周辺の温泉や自然も含めて人気のスポットの中心になっています。

また、逆に下落率のトップも北海道になっています。

美唄市東明2条の地域ですが下落率は前年同期比12.1%となっています。

下落率のトップ10に北海道の地域が5か所、半分を占めています。

上昇率トップと下落率トップが同じ都道府県にあるという点が、まず第1のポイントです。

さらに、住宅地での上昇のトップ10を見ますと。福岡県が4か所でトップ、沖縄が2か所、宮城県が2か所となっています。

福岡県は、博多新幹線開業とアジアからの船や飛行機のアクセスの良さから活気があることと、九州では唯一人口が増加しており九州他県からの移動が予想されます。

沖縄も、地方としては数少ない人口増の県であり、高齢化率も他県よりも低く、人口の自然増も他県と比較して高い県という背景があります。また、その暖かい気候や花粉症がほとんどない環境は、今後、高齢化社会になるにつれてますます人気が高まるのではないかと思われます。

宮城県については、仙台市の一部が以前から上昇に転じていますが、これは震災の影響も含めたものと思われます。

 

次に商業地の上昇と下落を見たいと思います。

上昇率のトップは、京都市伏見区深草稲荷御前町89番となっています。

この地区は、伏見稲荷大社の門前であり、観光スポットとなっており日本人・外国人を問わず訪問客が多く訪れますが、今年はなんと商業地の上昇率トップ10に、京都は5か所入っており、オリンピックも含めた海外の観光客が必ず訪問する「京都」ブランドの人気が見て取れる結果となっています。

商業地のトップ10には、京都以外では愛知県が3か所、大阪府1か所、福岡県が1か所となっています。

愛知県の上昇率の高い地域を見ますと、3か所共に名古屋駅前に集中しています。もともと名古屋の商業地は栄地域が中心でしたが、新幹線の時間短縮と名古屋駅と直結した高島屋の開業と桜通口の開発などで、駅周辺が商業地の存在感を増したということになります。今回は、桜通口側だけではなく、太閤口側も入っているところが特徴です。

大阪の上昇は、皆様、ご存知の道頓堀の戎橋の近くで、これも観光客の多い地域です。近くにはくいだおれなどの食のスポットもあるので、インバウンドが増えている地域となっています。

住宅地と商業地の上昇率の高いところを見ると、3つのポイント見えてきます。

1.オリンピックも含めた将来的に外国人観光客が増加する観光地域

2.人口の定着率の高さと吸収力のある地域

3.住宅地・商業地の上昇率トップ10に東京周辺が入っていない

以上が今回の住宅地と商業地に関する私見ですが、東京はオリンピック前に上がるだけ上がってしまったということでしょうか。

 

最後に工業地を見たいと思います。

工業地の上昇率トップの住所は、「茨城県猿島郡五霞町大字江川字沖ノ内2585番1外」となっています。

上昇率2位の住所は、「千葉県野田市はやま7番2」となっています。

また、上昇率7位は、「埼玉県入間市大字狭山ケ原字松原108番14」、上昇率8位は、「埼玉県東松山市大字新郷88番8」上昇率9位は「東京都青梅市今井三丁目4番22」上昇率10位は、「茨城県古河市北利根2番」となっています。この、1位、7位、8位、9位、10位という点を線で結ぶと、なんと、「首都圏中央連絡自動車道」いわゆる「圏央道」という答えに行きつきます。しかもこれらの点は、圏央道や高速道路のICのすぐ近くという立地です。現在の状況から判断すると、これらの地域は工場というよりは、物流のロジスティックの拠点としてのニーズが高いと思われます。あらゆる地域から首都圏に向かってくる、また、首都圏から出ていくモノをこれらの圏央道IC付近で「さばく」ことの効率性が高まっていることを示しています。

アマゾンをはじめとして、eコマースの益々の増加が予想されることから、圏央道IC近隣の物流拠点としての価値がこれからも高まることは間違いないでしょう。

以上が、先日発表された基準地価格の分析でしたが、東京周辺が住宅地・商業地の上昇率トップ10に入っていないという点は、何を意味しているのかはもう少し分析してからまた記載したいと思います。

今回は、下落率の地域についてはあまり詳しく触れませんでしたが、地方が多いことは変わらず、人口減と少子高齢化が原因となっていることは予想に難くありません。

ただし、住宅地の下落率のトップ6に「神奈川県三浦市尾上町1284番74」がランクされている点は気になります。この地域は、三浦半島の先端付近にあり、三崎港、油壷、城ケ島などがすぐ近くにある海産物も野菜なども豊かな地域ですが、交通の便がいまいちな所と、観光地としても東京圏から集客できていない感じがします。三浦市は、関東圏でも人口減と少子高齢化が進んでいることから、交通と観光をどのように発展させていくかがカギとなる感じがしています。