現金お断りの時代がやってくる

2018年2月18日(日曜日)

私たちがモノやサービスを購入する場合、支払いする方法は、現金・クレジットカード・デビットカード・スイカなどのICカードが主なものになると思います。また、最近では、仮想通貨での支払いも可能なお店が出てきています。

しかし、日本においては、いちばん信用性が高いものが現金であるという認識が一般的であり、現金決済が一番多くなっています。

実は、私も同じ金額なら福沢諭吉のご尊顔が印刷された現ナマをもらったほうがなんとなくうれしい感じがするのも事実です。

一方、北欧のデンマーク・スウェーデンなどでは、スマホアプリやデビットカード決済による支払いが進んでいて、現金の支払いをしているのは観光客などの一部に限られている状況にまでなっています。

それらの2つの国の現金での決済率は5%以下という状況になっています。さらに、デンマークでは、現金での決済をお店側が拒否できるというところまでキャッシュレス社会が進んでいます。

また、キャッシュレス決済の中では、クレジットカードから、銀行口座とデビットカードやスマホアプリと直結してリアルタイム決済する方向に進んでいます。

中国では、クレジットカードである銀聯カードが普及して、日本においても使用できる百貨店・家電量販店などが急増しました。しかし、現在、中国で起きているキャッシュレスの流れは、スマホアプリによる決済です。その推進役として電子商取引サイト「タオバオ」を運営するアリババの「アリペイ」とSNS「ウィチャット」を運営するテンセントの「ウィチャットペイ」の2大IT企業が大きな貢献をしています。中国では、スマホで買い物をする習慣がスマホの急激な浸透とともにあっという間に広がり、決済もスマホアプリでという流れが瞬く間に浸透しました。

これらの銀行口座直結型のモバイル決済の急激な普及の背景には、消費者だけではなく売り手側のメリットも大きく影響しています。

クレジットカードという決済は、口座直結ではなくクレジットカード会社がカード利用者の信用を代替わりしてお店にお金を払い、月ごとの決済日になってカード利用者の口座から引き落としを行うという仕組みになっています。そのため、お店にリスクはない分手数料として3%~4%ほどの金額をお店側からいただくという仕組みになっています。したがって、金額が大きくなればなるほどその手数料の絶対金額が大きくなっていきます。一方、リアルタイム決済のモバイル決済では、銀行口座と直結していますので与信リスクがないことから、お店側の手数料もクレジットカードと比較して圧倒的に低いので利益が全く違ってきます。

また、中国では偽造通貨が多いこと、さらに現金に絡む犯罪も多いことからアリペイとウィチャットペイがあっという間に浸透していったという背景もあります。今や、路上で花や果物を売る屋台でさえもスマホ決済可能です。

これらは、最大のインバウンド消費者である中国人の消費を取り込もうとしたら銀聯カードだけではなく、アリペイやウィチャットペイの支払いも可能にすることが重要になってきます。

 このように、クレジットカード・デビットカード・モバイル決済(仮想通貨含む)の違いは別にして、世界中でキャッシュレスの方向に向かっていますが、日本ではその流れが緩慢です。

その理由を考えてみるといくつか推測できます。

1.日本の通貨は非常に精巧にできていて偽造しにくい

2.現金強盗または窃盗などの犯罪が比較的少ない

3.ATMが全国あらゆるところに設置されていて24時間現金が引き出せる

  (中国やアメリカなどの広大な国土ではATM整備は莫大な投資になる)

4.高齢者がお金を多く持っており現金主義が多く残っている

などということが推測されます。

しかし、これから世界的に進んでいるキャッレスの方向性を同じように進めていく必要があります。訪日客の利便性向上の意味でも非常に重要になってくるでしょう。

ところで、日本でもすでに現物ではなく電子的に切り替わったものがあります。そうです、株券です。

株券は、2009年に法律の施行により上場会社の株式等にかかわる株券はすべて廃止され、それまで行われてきた株主権の管理は、証券保管振替機構(「ほふり」)および証券会社、信託銀行等の金融機関に開設された口座において電子的に行うことになりました。

それ以降、株券の電子化において問題は発生していません。でも、株券がなくなると初めて聞いたときは、「大丈夫か」という声がかなり聴かれた記憶があります。

先日の仮想通貨NEMでも発生したように、電子的な通貨のやり取りは、ITセキュリティのリスクは存在しますが、株券以上にキャッシュレス化には大きなメリットがあります。

1.通貨を発行するコストがない

2.通貨を保管・運送するコストがない

3.現物がないから銀行強盗や窃盗などの現金を狙った犯罪がない

4.紛失したり・火事で焼失することもない

5.現物がないから偽造できない

6.ATMが不要になる

7.お金の動きが透明化され、裏で動く現金というものがなくなる

8.お店でも精算業務や計算・保管・銀行入金・両替などが不要になる

以上のように多くのメリットがあります。

しかも、この動きは各国の政府にとっても徴税という側面からして魅力的です。銀行口座を軸とした電子的なお金の流れと個人IDとトランザクション(取引処理)を紐づけてしまえば透明化され、自動納税の方向性が見えてきます。確定申告なども不要になってきます。また、現金はデータに残らないために隠し金や犯罪に絡む報酬などに使われやすいので、銀行口座と個人を紐づけした電子化をしてしまえば調べれば、いつ、誰から誰に、いくらお金が渡ったかが追跡できます。

悪い政治家がもしかしたら嫌がるかもしれませんが、エストニアなどのIT立国では国民データベースと銀行口座➡家計簿➡納税が自動計算になっていて税理士や会計士という仕事が不要になってしまいました。政治家の資産台帳も自由に電子的に閲覧できるようになっています。現在では、電子政府先進国として世界各国から見学が絶えないような電子的な政府の仕組みを完成させています。

ここからは雑談になりますが、キャッシュレス化が日本でも実現すると、ご祝儀・お年玉・お賽銭もモバイルでの決済になってしまうということが避けられませんね、現金がありませんから。そのなかでも一番困ってしまうのが銭洗い弁天でしょうね。それとも、悪い政治家かもしれません。大臣室で百貨店の紙袋に入った現金をやり取りすれば、お互いに黙っていればその流れは闇の中です。しかし、これを電子的にやり取りすれば動かぬ証拠が記録されてしまうということになります。

最後に、このキャッシュレス化と国民データベースを進めていく必要性の中で、徴税目線だけではなく、国民生活の利便性の目線でこれらを整備し、そのメリットを国民に理解させて、同時にセキュリティもトータルにデザインすることで、電子政府先進国の一角となって、世界をリードできるような仕組みを構築していただきたいと思います。