日銀総裁続投で分かったこと

2018年4月22日(日曜日)

先月、5年間の任期を終えた日銀総裁の続投が決まり、これから5年間継続して現総裁が日銀のかじを取ることが決定しました。

政府の首相は、現総裁のこれまで5年間の功績を高く評価しているという趣旨のコメントをされたということですが、民間企業の組織人事を見てきた立場の私としては非常に驚かされたという感じであり、この評価で明確に分かったことは、「そもそも、物価上昇率2%UP」という目標は、単なるお題目であり、首相は達成ができないと思っていたということです。

5年前、黒田総裁は、2年間でマネタリーベースを2倍にして、物価上昇率2%を達成すると公約しました。しかし、2年間はおろか人気終了の5年を経た時点でも一度もそれは達成されていません。

これを、一部上場の企業に例えると、次のようになるのではないでしょうか。

代表取締役社長が、株主総会で中期計画を発表しました。

それは、売り上げを毎年2%ずつアップさせる。そのために、取締役事業本部長に〇〇本部長を任命し、社長自身とともに協力してその目標を達成すると発表しました。黒田本部長は、自信をもって2年間でその目標を達成することをすべてのステークホルダーに向けて発表しました。

しかし、2年間経っても2%の物価上昇を達成できず、○○取締役本部長の任期終了が迫った5年後にもその目標は達成できませんでした。

このような場合、民間の上場企業であれば、2年間で達成できない時点で、取締事業本部長は解任されることも一般的です。ましてや、任期が迫った段階でも達成できないとなったら代表取締役の責任を問われる事態となります。

この段階の株主総会で、代表取締役が「取締役事業本部長を高く評価している」などという評価を株主の前で話すことは不可能であり、もし、それが市場に伝わったとしたらその会社の評価は地に落ちることになります。つまり、民間上場企業の評価とは計画に対して達成できたか否かであり、計画ということは単なる努力目標ではなくコミットメントであるという理解です。

政治の世界は別だといわれるかもしれませんが、組織を運営し責任ある立場にある人がコミットメントしたことに対して、株主であれ国民であれステークホルダーは評価するものです。

公の組織のトップが、目標を発表し、その目標の担当責任者が目標を達成できなかった結果に対し、「高く評価する」ということは、「なぜなら、私たちは、最初からその目標を達成できるとは思っていませんでした。だから、今の数字でも高く評価しています。」と言う意味にしかとることはできません。

でも、本当に達成したいことは、もっと他にあるということかもしれません。