日銀総裁の記者会見

2018年4月30日(月曜日)

前回のブログで、日銀総裁の続投で分かったこととして、「『政府も日銀も物価2%の上昇を早期に実現する』というコミットメントは単なるお題目で、政府も日銀もそれを達成するとは最初から思っていなかった」ということを書きました。

そうしたら、私などのブログに対応するわけなどありませんが、4月27日に開催した日銀の金融政策決定会合で、短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ程度に誘導する金融緩和政策の現状維持を決めた。2019年度の物価見通しは据え置いたものの、「19年度ごろ」としていた2%の物価目標の達成時期について文言を削除した。との報道がなされました。

この報道を見て、早速U-TUBEで記者会見の様子を見ましたが、やはり、記者からは2%物価目標の達成時期の文言削除について質問が集中していました。

総裁の発言は、「物価見通しと政策変更が機械的に結びついているわけではない。物価についてはあくまで見通しであり、また、係数のみに過度な注目が集まることは市場とのコミュニケーションの面からも必ずしも適当とは言えません。故に、市場に誤解を与えることを懸念して削除することにした」という主旨の発言を繰り返ししていました。

この発言を聞いて「開いた口が塞がらない「」とはこういうシチュエーションのことをいうのだと私は思いました。

2013年4月に日本銀行から出ている文章をそのまま引用したします。

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2013年4月4日 日本銀行

「量的・質的金融緩和の導入について」

1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、以下の決定を行った。

(1)「量的・質的金融緩和」の導入について

日本銀行は、消費者物価の前年比上昇率2%の「物価安定目標」を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する。このため、マネタリーベースおよび長期国債・ETFの保有額を2年間で2倍に拡大し、長期国債買い入れの平均残存期間を2倍以上に延長するなど、量的・質的ともに次元の違う金融緩和を行う。

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という記載が、黒田総裁の就任直後の発表の1丁目1番地に明記されています。また、この消費者物価の前年比上昇率2%の時期の記載については継続され、なんと6回も延期を繰り返してきました。そして、任期終了となる時点において、政府は、早期実現どころか任期満了の時点でも目標を実現できなかった日銀総裁を高く評価し、続投することを決定したわけです。

そして、続投が決定して初めての金融政策決定会合で、あっさりと2%物価上昇の時期の文言を削除するという発表に至りました。

記者会見の総裁の様子を見ていると、2013年4月の黒田バズーカと言われたころの勢いや自信はほとんど感じることはできなく、記者の質問に関しても単刀直入に回答しておらず、学者が言っている話や、欧米の金融政策もこういうかたちだとか要領を得ない発言という印象でした。また、今回削除した2019年度ごろの2%物価上昇については個人的はいけると思っている。という、根拠不明の見通しを述べておられました。

ただ、1つだけ明確に言っていることは、現在の金融緩和つまり、マイナス金利の維持や、量的緩和の維持については明確なコミットメントであるということです。

ここで私なりの分析をすると以下の内容ではないのかという気がします。

それは、前の任期の期間内では、総裁就任早々明確に1丁目1番地でコミットメントした内容を否定するようなことは口が裂けても言えなかった。これを言ったら続投など政府としても認めることはできない。続投はもう既定路線なのだから、続投が決まった後に言うしかないということだったのではないでしょうか。

そして、ここから見えることは、政府が日銀総裁に一番求めていることは、2%の物価上昇ではなく、低金利策の維持、国債・株・リートなどの継続購入並びに維持、そして、それに伴うマネーの市場供給維持だったのではないかと推測します。そのためには、現在の日銀総裁の維持が望ましいということなのかもしれません。なぜなら、政府は今回の文言削除につていなにもコメントしていないようです。

私が、心配しているのは、明確な目標をコミットメントではなく、単なる見通しとして今後も異次元の政策を継続した場合、懸念されていた副作用がどんどん表面化してくることです。

そうならないように、黒田日銀総裁に決定した以上は、これから後5年の任期期間中に日本経済のために辣腕を振るわれることをお願いしたいと思います。