働き方改革法案衆議院通過採決

2018年6月4日(月曜日)

政府が強力に推し進めている働き方改革法案が、5月31日に衆議院で採決されました。

本日から、参議院でも審議が開始される予定になっています。

高度プロフェッショナル(高プロ)の適用については、議論が噴出していますが、働き方改革法案にかかわらず、これから企業の人事制度が大きく変わらざるを得ない状況に来ています。

まず、その背景をお話ししたいと思います。グローバル経済の中で日本が今後ともに成長又は経済を維持していく上で、最大の問題点は「人口問題」です。

それでは、人口問題とは何かといいますと、ご存じのとおり「少子高齢化です。

そして、少子高齢化がここまで進んでしまったことによって、経済において何の問題が起きているかというと

1.労働人口の急激な減少

2.医療・年金・福祉などの社会保障費の急激な増大

の2点が日本経済に大きな影響を及ぼしています。

これは、何を意味するかというと、学校を卒業して企業に就職し、定年65歳まで勤め上げたら、後は、年金でゆとりの老後を送るというライフプランの崩壊が始まっているということです。

そして、2022年つまり4年後は団塊世代が後期高齢者(75歳)を超えていくことから社会保障費の増大はさらに進んで、現在の医療・年金制度を維持できない方向に行くことは間違いありません。

そのような状況の中で、これから日本経済を維持していくためには、労働の量と質の確保が絶対的に必要になってきます。そこで、政府はこの労働人口問題と社会保障費の問題を解決すべく動いているわけです。

これからの、日本経済を支えていく労働についての法律およびガイドラインが、働き方改革ということです。

今回の働き方改革を見ますと、どちらかというと「雇い方改革」という側面が強く、企業の人事戦略にとってかなり大きな変革を求められることになります。特に、中小企業のきびしい業績と人手不足の中で、大企業とは時間のズレがあるとはいえ、この法案が成立すると「法律的な対応」「人事制度の改正」などやらなければならないことが増大することは間違いありません。

しかし、政府の働き方改革にかかわらず、日本の経済の背景を見れば、企業が優秀な人材を確保していくで、これまでの高度成長期に確立した人事制度のままで、これからも続く労働人口の減少の中で優秀な人材を確保していくことは難しいと言わざるを得ません。

政府が進めようとしている「働き方改革」の中で、現在話題になっているのが、賃金是正・長時間労働の是正・非正規雇用の処遇改善が主なところです。この点については、企業の皆様も現在の内部問題として推し進めている内容だと思います。これらの対応はもちろん法律的な問題解決のためには必要です。

ただ、長期的に企業の全体戦略のなかの人事戦略として位置付けなければならないのは、若者の採用・女性の活躍・シニアの活躍・外国人労働者の活躍・高度人材の獲得という「多様な働き手で優秀な人材を活用できる人事戦略と人事制度の」確立になっていくと思います。

現在までの日本では、会社の就業規則を作ってそれに則って、一律に待遇し、基本的には終身雇用を前提にしてきました。

しかし今後、働き方が多様化するということは、同じ職場の中で、正社員・限定正社員・契約社員・パートタイマー・請負契約労働者・外国人労働者などの多様な処遇を持った人間が、協力して能力を発揮できるようにしなければならなくなるということです。

新卒一括採用で一律の制度で人事を行うのではなく、きめ細かないろいろな働き方に対応できる職場と人事を作り上げることが必要であり、そしてそれが、企業全体の競争力を上げられる原動力になっていくということです。

現在、政府として正規と非正規社員の待遇是正のためにやろうとしていることの中に、「労働者に対する待遇に関する説明義務の強化」というものも含まれています。これらの流れに対応できるためにも、しっかりと多様な人材が活躍できる職場をイメージして、人事戦略を見直していくことが重要になります。